The Longest Night 春の声

 暗く凍てついた冬空に、太陽の姿が見えない。太陽を呼び戻すのは、誰? 「わたしだ」「いや、ぼくさ」――雪の森で動物たちが声を上げても、風は認めない。"The Longest Night"を読んだ後に、娘から聞かれた。「ママ、冬が終ってうれしいでしょ」。そうか、立春が過ぎ、チッカディーの声が聞こえているから、もうすぐ春なのだ。
 春を告げる絵本、されどイメージは冷たい冬の夜。でも、まばゆい青白さに心が洗われるようで、しんと聖なる気持ちに浸っていた。テッド・ルーウィンの写実画が美しく、詩的に語られる冬の情景がひときわ凛と映える。冬――子どもの頃は雪、雪、雪で大好きだったのに、大人になるともうこりごり。でも、絵本の描写する、すべてが銀世界に埋もれ、静謐の中に生命が蠢き、見も心も透き通りそうな錯覚に陥る、清らかで厳かな季節には心ひかれる。
 今年は暖冬で、あまりガチガチ震えることがなかった。積雪も、一度あったきり? お隣りのバンクーバーBCは、この気候のせいで五輪競技場の調整に苦労しているわけなのだけれど。
 気がつけば再び、チッカディーディーディー、チッカディーディーディー。アメリカコガラの小鳴きが、春の訪れを告げている。
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The Longest Night

The Longest Night

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