The Hallelujah Flight ハレルヤ飛行

 "The Hallelujah Flight"は、黒人パイロットによる米大陸初横断飛行を描く歴史絵本である。
 ジェームス・バニングは、米国商務省より飛行ライセンスを与えられた最初のアフリカ系米国人。航空ショーのスタントパイロットとして活躍していたが、彼の名前を世に知らしめたのは1932年、ロサンジェルスからニューヨークまでを副パイロットのトマス・アレンとともに横断飛行した快挙である。
 オンボロ飛行機だったことから「空飛ぶホーボー」と揶揄されても、夢を果たそうと空に向かう2人が底抜けに明るい。カリフォルニアから出発し、アリゾナニューメキシコ、テキサス、オクラホマミズーリインディアナオハイオペンシルベニアを経由。黒人差別の渦巻く南部では偏見と戦い、中西部を抜けてニューヨークへと向かった。
 バニングは当時、時の人となったもかかわらず忘れ去られてしまった存在のようだ。中学で社会科を教え、大学でも米史を専攻した作者でさえ、ニューヨークのとある民芸店で古いバニングの額入り写真を目にするまで、まったく名前を聞いたことがなかったと言う。
 アフリカ系の子どもたちに、大きな夢を与える絵本だ。「ハレルヤ(主をほめたたえよ)!」を合い言葉に飛行した2人の姿が目に浮かぶようだった。
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The Hallelujah Flight

The Hallelujah Flight