The Heart and the Bottle ガラス瓶の中のハート

 好奇心の羽をはばたかせ、女の子は森羅万象、この世に存在するものすべてに目を見開き耳を傾けた。新しいことを発見するたびに胸が高鳴り、笑顔がはじける。けれども、ある日、大切な人がいなくなり状況が一転する。今まで伸びやかに反応していた幸せな心が消えてしまったようなのだ。女の子は心(ハート)を取り出しガラスの瓶に詰めた。あれほど楽しかった星座の話や海洋の不思議にも、何も感じなくなっていた。
 喪失感を味わった後、大人になった女の子はハートを取り戻せるだろうか。
 何とメランコリックな絵本だろう。"Heart and the Bottle"は、子どもよりも大人に迫る絵本だった。昔の自分に戻るのに、女の子は随分長い時間を要することになる。このあたり、けっこう現実的だ。
 子どもに出会い、はじめて子どもの気持ちを想起する――。そんな心と時間の描かれる絵本。見返しに描かれたスケッチ風のイラストがすてき。
amazon:Oliver Jeffers

Heart and the Bottle

Heart and the Bottle