Bag in the Wind ゴミの旅

 "Bag in the Wind"の「バッグ」とは、スーパーでもらう、あのプラスチック袋のことだ。荒涼とした冬景色にパサパサと音を立てながら舞っていく袋を追いながら、絵本は現代人の生み出した最大の功罪「(生物分解不可能な)ゴミ問題」について問いかける。
 と言っても、展開は物語仕立てである。ゴミ埋立地から風に煽られ舞っていく袋を、空き缶集めでお小遣いをためている少女マーガレットが拾っていく。空き缶入れになった袋はお役目御免の後、松葉杖をつくホームレスのおじさんに拾われ、川に流されて、港で再びホームレスのおばさんに拾われ、その果ては……。
 米国の殺風景な田舎の風景に、ゴミとなって流転する袋の姿が淋しく映し出される。物悲しいというか、ものの哀れというか。残雪の地に木枯らしの吹く光景が、たまらない冷たさを送り込んでくる。汚いものにふたをしている、ふたの中は、暮らしの裏側を見せつけるこの景色だった。
 折りしも、「世界初! コンポストになる袋入り」とのうたい文句が大々的に印刷されたポテトチップスを食べた。内側がまぶしいほどの銀色で、軽く触るだけでパリパリとかなりの音を立てるうるさい素材である。こうやって最新技術を駆使し、人類は犯した罪を償おうとしている。でも、未来の地球再生に、果たして間に合うのだろうか。
 絵本はあとがきで、プラスチック袋の使用を極力避け、自前の買い物袋使用を奨励する。調査によると現在、米国で年間に使用されるプラスチック袋の平均は一人(大人、子どもを含む)350枚から500枚だそう。今すぐに使用を中止すると、生涯で一人22000枚を使用せずにすむとのことだった。手遅れにならないうちに、即実行すべし。
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