Hattie the Bad いたずらハティ

 ハティのいたずらぶりは人並みじゃない。冷蔵庫にカエルを隠したり、車の鍵を風船で飛ばしたり、だからハティのあだ名は"Hattie the Bad"。(「バッド」とはかなり強い表現で、子どもを呼ぶにはちゅうちょしてしまう。しかし、そう呼んでも言葉の持つ意味ときれいに均衡を保つぐらいなのだから、やはりハティは「バッド」で通るのかもしれない。)そんなハティだったけれど、小さな頃はとてもおりこうさんだった。でもある晩のこと、おりこうさんでいることは、ちゃんとごはんを食べて眠くもないのにベッドにもぐりこむことなのね……ちっとも楽しくない……と気づいてしまい、ハティは突如、いたずらっ子に変身を遂げる。子どもたちから熱い視線を浴びて、ハティ人気は絶頂になった。でも友だちは大人たちから「ハティと遊んじゃいけません」と吹き込まれ、瞬く間にだれも遊び相手がいなくなってしまい……。だから彼女はふたたびおりこうさんに戻ることにした。お母さんおすすめの服を着て、就寝も自らきっちり時間を守り、「おりこうさんはだれだ!」のコンテストにまで出場することになった。
 絵本は、いたずらっ子とおりこうさんのはざ間で揺れ動くハティの心情を描く。はじけたイラストが彼女のキャラクターにぴたりと当てはまり、見ていて気持ちがよかった。この小気味よさがいたずらに潜む子ども性を引き出して、ユーモアを一斉にふりまき始める。おりこうさんも可愛らしいけれど、奔放ないたずらっ子も捨てがたい。子ども時代にしか体験できないであろう心の躍動を思いきり賛美している。
 英国の絵本。英国版は、水色っぽい表紙。
amazon:Jane Devlin
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Hattie The Bad

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