Chalk 魔法のチョーク

 "Chalk"は、雨の公園に繰り広げられた魔法の時間を描く。その魔法の正体は、「チョーク」。
 恐竜の遊具に置き忘れられていたバッグの中には、色とりどりのチョークがいっぱい。3人の子どもたちはしとしと雨の降る中、チョークに手を伸ばし、コンクリートの地面に絵を描き始めた。女の子が黄色のチョークで太陽を描いてみると……。ここからがファンタジーの開演だ。あれよあれよという間に空が晴れ上がり……、まぶしい太陽の照りつける青空の下、子どもたちは蝶を描いてみたり、恐竜を描いてみたり、魔法の時間に遊ぶことになる。
 絵本には文字がない。その分、絵に力が宿っている作品である。写実で描く子どもの表情、まわりの景色にとにかく魅せられる。生き生きとしていて、ふとした瞬間に絵本からすべてが飛び出してきそうな迫力なのだ。後半の展開は息を呑んで見守るばかりといった感じだった。
 作者はハートフォード大学で絵画を教える准教授とのこと。先生がこれだけ圧倒的な作品を世に送り出せば、生徒たちは拍手喝さいで絵本の魅力を語るのみじゃないか。
 うちではみんなで、のぞきこむようにしてページをめくった。チョーク遊びをする前に読むと想像力が掻きたてられそう。
amazon:Bill Thomson

Chalk

Chalk