Oh, Daddy! おちゃめなパパかばさん

 "Oh, Daddy!"は、「諭す」を描いた絵本です。忙しい朝、テレビに夢中になっているボクを見て、ダディがとんでもない格好で現れました。「こうやって、おようふくをきるんだよね?」――頭に下着をかぶる光景には「!?……」でしたが、色違いのキッチンミトンを両手にして、片方の足にオレンジ水玉の長靴、反対の足にはバケツをはき、頭にお花の植木を乗せての登場です。それを見たボクは「ダディッたらあ!」「おようふくは、こうやってきるんだよ!」と反対にお手本を見せてあげます。ダディのもくろみは大成功ですね。ダディが故意におとぼけ行為を示すことで、小さなボクは模範を見せて楽しく優越感を味わう――。こうして絵本は一環して、父子のほほえましいやりとりを描いていきます。
 こういう遊びが実践できる親子は幸せです。うちの小学校の子どもたちだったら、まず無理。この遊びの成り立たないことがほとんどでしょう。おふざけをしたら、そこからとめどなく遊び出してしまい、けじめが見分けられなくなります。ボクがしっかりお手本を示せるのは、それがある状況下で正しいことだとちゃんと教えてもらっているからです。
 躾という響きに否定的な印象を描く人もいるかもしれませんが、躾をしてもらわなかった子どもたちのなんと不幸なことか。ありがとう、ごめんなさい、お願いしますも知らず、社会生活を送る上で許されること、許されないことの判断も何も知らない子どもたちには、重く暗い末路が待っているのみです。小さな頃に教えてもらわないと人間関係としての習慣にならず、心に大きな傷を覆うできごとが待ち構えるのみなのですから。
 絵本を読みながら、幸せな子ども像と不幸せな子ども像を浮かべ、もう少し後者支援を頑張ってみようと言い聞かせました。
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Oh, Daddy!

Oh, Daddy!