Nabeel's New Pants: An Eid Tale しあわせ家族の物語

 "Nabeel's New Pants: An Eid Tale"の作者は在米インド系英国人、画家はカルカッタ在住のインド人。お話はインドのイスラム教徒が祝うお祭りイードを背景に、まごころいっぱい、愛いっぱいの一家族を描く。
 靴屋のナビールさんは大忙し。明日はイードのお祭りの日。人々はみな新しい身なりでお祝いするので、ナビールさんの作った靴もみんな売り切れだ。さて、自分もお祭りの準備をしなければいけない。ナビールさんは衣装屋ハムザさんの店に出かけ、すすめられるままに、妻にブルカ、お母さんに服、娘にブレスレットを買う。店を出ようとすると、つぎはぎのズボンを見たハムザさんが残り1本しかないズボンをすすめてくれた。ちょっと長いけれど、丈を短くしてもらえばいい。そう思ったナビールさんは、自分のためにズボンも手に入れた。家に戻ると、妻も、お母さんも、娘もイードの準備で忙しい。とても丈を詰める時間などありゃしないと、みんなに断られてしまった。そこでナビールさんは自分で丈詰めをすることになる。心優しいナビールさんは、残ったお金を貧しい人に寄付しようと再び出かけていった。さて、その間に、ズボンのことを気にかけていた妻、お母さん、娘の3人は……。
 思いやりいっぱいの人々が繰り広げる、心あたたまるお話だった。ナビールさんの穏便で優しい人柄が、かかわる人々のまごころに反映されているんだなあ。読んでいて心がほっかほかになっていた。親しみやすいイラストも、そこに輪をかけてしあわせストーリーをあたためている感じ。睦まじくモスクに出かけて行く一家の後ろ姿が、ほんわかしあわせの証になっている。
 父の日に読むのもいいな……と思った。ナビールさんのように家族みんなから愛されるお父さん、すてきだな。
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Nabeel's New Pants: An Eid Tale

Nabeel's New Pants: An Eid Tale

 先週の土曜日、火災で命を失った13歳のジョセフに追悼の意を捧げます。明るい笑顔が今もずっと脳裏に焼きついています。