かあさんあひるのたび
公立校の新学期が始まり1週間。初日の朝のことを記しておこうと思いながら、すでに1週間がたってしまった。
先週の水曜日は雨。息子は部活の試合でゴルフバッグを持って行かなければならなかったので、わたしが車で送ることになった。戸締りするわたしを、彼は外で待っていたわけだけど、そのときの姿があまりにも小さな頃にそっくりで少しばかりの感動を覚えた。「そんなところにいたら濡れちゃうよ」というわたしの助言には耳を傾けず、「雨に濡れるほうが楽しいよ」の一言。しとしと降る雨の中、南天の茂みにおでこをくっつけて、したたる雨だれを気持ちよさそうに感じているのだ。こぼれる雨粒を手にかざす姿を見て、この子の感性があの頃とまったく変わっていないことを確かめた。傘が大好き。雨降りの日の外遊びが大好き。長靴をはき、勇んで外に駆け出してゆく後姿を今の姿に重ねていた。
こういう「子ども」を感じる日に、すてきな絵本を目にできたことは偶然だったのか。というか、帯のことばを読んで、もうそれだけで、せつなくしあわせな気持ちに浸っていただけだったのだけれど。そのことばはこう……:
うれしくて、さびしくて、しあわせ
子どもと歩く、子どもが巣立つ、ひとりで歩く
そして――かあさんあひるの旅はまだまだ続く!
ほんとうに、そうよね、子どもと歩いた日々を後ろに、わたしの旅はまだまだ続くのだ。そんな旅をさせてくれた、そして今もさせてくれている子どもたちに感謝した。
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