One Big Rain: Poems for Rainy Days しとしと雨の降る夜に

 1か月前、いえいえ、これは2か月近く前から、購入して袋に入れっぱなしになっていた絵本のうちの1冊。"One Big Rain"を書店の袋から取り出して、ちょっと思い出してみる。あれは確か公立校の初日が雨降りで、その日に書店に立ち寄り久々の衝動買いを敢行した流れだった。
 表紙を見てピピッと一期一会の出会いを直感。四季を通じて雨の詩を収録した編集スタイルにも魅せられて即、購入だった。
 秋の葉っぱが舞っているので、今にぴったり……と思っていたら、はじまりの詩は秋からだった。秋冬春夏の順に、季節の彩りを描く詩が各5編ずつ紹介されている。雨の日に、子どもたちに読んで欲しいなとも思ったのだっけ。(雨の日の絵本棚、作りたい……)
 それにしても、そうか、雨はやはり秋なのだ。小径に散り秋雨に打たれる紅葉の風景は、それだけでしっとりと心に入り込む。最初の見開き2編が、秋雨の美しさをこんな風にうたっている。

  • Haiku by Kyotai

the falling leaves
fall in layers...the rain
beats on the rain

Black cat
at a white
window-pane
watches a rose
run red
in the rain.

 くすんだ中間色のやわらかな透明感が、「雨」というテーマにぴったりだ。言葉と視覚のハーモニーが、雨のイメージどおり心を清めてくれる。もちろん嵐の雨も、恵みの雨も、この後に登場する。でも今夜は、このきれいで絵画的な秋雨を感じていたかった。
 これは、心の友的な詩集絵本。静かな気持ちに浸りたいとき、四季の美しさを想起したいとき、かたわらに置いておきたい。大切な時間を目の前に捧げて待っている、雨の日に。
amazon:Rita Gray
amazon:Ryan O'Rourke

One Big Rain

One Big Rain