Subway ニューヨークの街を旅しよう

　田舎で育った者として本音を言うと、地下鉄は苦手。地下に潜ってゴーゴー音を立てて移動するイメージだけで、強烈な「負」の気が生まれている。
　でも、ニューヨークの地下鉄をテーマにした絵本"Subway"は楽しかった。がっかりな雨降りの日にお父さんと地下鉄巡りすること自体が子ども心をくすぐるし、押韻のリズムが暗い地下に明るく響きわたり軽やかなムードを盛り立てている。登場人物たちがピクトグラムで表現されていて、地下鉄の路線マップとぴたりの相性だ。絵の具のムラが残る、少し素人風の仕上げ方も、おもしろい効果を生んでいると思った。中学生の頃に描いたデザイン・ポスターを想起させてくれ、親近感に包まれる感じ。
　ニューヨーク地域に在住していたら、この絵本を抱えて地下鉄の旅に出るのもいいかな。
→漢字とアート - 絵本手帖
amazon:Christoph Niemann

Subway