Children Make Terrible Pets 動物と子ども、視点の逆転

 動物が人間の子どもをペットにしたら、どんなことが起こるだろう。子どもにとってワクワクしそうな視点の逆転を描いた"Children Make Terrible Pets (Starring Lucille Beatrice Bear)"は、作者が小さな頃、母親に問われたひとことから発想を得たらしい。森で見つけたカエルをペットにしようとしていたら、お母さんが「考えてごらんなさい、自分が動物のペットにされたら、どうかしら?」――で、それに対する応えが「いいよ!」だったそう。
 クマのルーシーが森で見つけたのは、人間の男の子。お母さんに頼んでペットにしてみたけれど、楽しいことばかりじゃなかった。泥だらけの靴で歩き回るし、だだをこねるし……。お母さんのいったとおり、人間の子はお世話がたいへんだ。
 すべてクマ親子の視点で語られる設定がおもしろい。クマから見ると人間たちの会話はなぜかすべて「チューチュー(ねずみなどの鳴き声'squeak')」。だから男の子もチューちゃんという名前で呼ばれている。
 幼少期の体験から得たアイデアだからなのか、イラストは70年代ぐらいのホールマーク製グリーティング・カードみたいな風合いだ。木目板を背景にした表紙も、当時のレトロな雰囲気をかもしている。あの頃は、こういう暗い色のインテリアが多かった印象があるなあ。新しい絵本なのだけれど、全体的にほんのりセピア色がかっていて不思議な作風だった。
The Curious Garden 無機質な都会に広がる緑の楽園 - 絵本手帖
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Children Make Terrible Pets (Starring Lucille Beatrice Bear)

Children Make Terrible Pets (Starring Lucille Beatrice Bear)