Binky to the Rescue ねこ好きさんへの贈りもの
"Binky to the Rescue (A Binky Adventure)"は、猫好きさんにはたまらないコミカルな絵本だ。ふとっちょ猫ビンキーの生態をコマ割りで描写するコミックのような作品なのだけれど、作風は絵本そのもの。主人公のビンキーがときに擬人化され、独自の冒険に挑む。
飼い猫の冒険とくるからには、猫のキャラクター性そのものに愛着を覚える光景が続く。この様子が、猫を知る人、少なくともわたしにとっては、たまらなく愉快なのである。蜂の大群との対決、ぬいぐるみのネズミの救出……と、猫の日常に見られる行動を「猫の視点」から描き、ツボをくすぐる冒険ものに仕上げている。
この味わい深さは何だろう。掘り下げてみると、ビンキーの発する擬音語・擬態語に行き着いた。音の感覚とビンキーのしぐさが、ハート・ウォーミングな笑いを誘うのだ。もちろん、構想、構図もおもしろい。擬人化された猫と、家族に可愛がられる猫――両極の絶妙なスイッチが、ファンタジーと現実を行き来させてくれ、体裁はコミック風でも絵本の特性を最大限に発揮する。
次回も期待してしまうよ、ビンキー。対象年齢は7歳から10歳と記されているけれど、大人のわたしは十分過ぎるほど楽しんだ。表紙が芝生の緑なので、季節が外れていることには目を瞑り、題字の赤と合わせて、笑いをふりまくクリスマス・プレゼントになりそうだ。娘にも大受け。
シリーズ一冊目の"Binky the Space Cat (A Binky Adventure)"も、ぜひ読みたい。
Binky to the Rescue (A Binky Adventure)
- 作者: Ashley Spires
- 出版社/メーカー: Kids Can Press
- 発売日: 2010/09/01
- メディア: ハードカバー
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Binky the Space Cat (A Binky Adventure)
- 作者: Ashley Spires
- 出版社/メーカー: Kids Can Press
- 発売日: 2009/08/01
- メディア: ハードカバー
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