Don't Want to Go! シャーリー・ヒューズの魅力

 子どもをよく知る人であれば、シャーリー・ヒューズの絵本は、うなずきっぱなし、うなりっぱなしの絵本となる。"Don't Want to Go!"も、やはりそうだった。
 お母さんが、流感で寝込んでしまった。仕事に出かける寸前のお父さんは、小さなリリーを友人のメラニーさん宅にあずけることにする。メラニーさんの家には小さな赤ちゃんサムがいる。絵本は、最初は「いきたくない!」とぐずっていたリリーが、赤ちゃんやメラニーさんといっしょに過ごすうち、少しずつまわりに打ち解けていく様子を描く。
 最後にメラニーさんは長男のジャックくんを学校に迎えにいくのだけれど、この場面、なんだか昔を思い出していた。赤ちゃんのしたくをさせ――おなかをいっぱいにさせて、おしめを変えて、寒くないようにしっかり着込ませ――、しかも当日たまたまお世話することになった小さな子どもを連れて、ストローラーを押して学校まで出かけるこの光景。親とは、こうやってたくましく生きていくのだと、今さらながら感慨にふけっていた。
 最後のオチは、やっぱりという感じ。幼児の日常と心理をたくみに描いた、チャーミングな絵本。

Don't Want to Go!

Don't Want to Go!

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