Who Stole Mona Lisa? モナ・リザのたどった運命

 名画モナ・リザをめぐる数奇な運命をユーモラスに紹介する絵本が、"Who Stole Mona Lisa?"である。レオナルド・ダ・ヴィンチに寵愛されて描かれ、その後、10人にも及ぶフランス国王の手に渡り、ナポレオンを通じてルーブル美術館に寄与されたモナ・リザ。この400年のときの流れは、あまりにも深すぎて、個人的に、あの微笑の謎も含めて不思議な存在としか表現し得ない。そこにきて絵本ではモナ・リザ自らが語る形で歴史を追うので、好奇心を揺さぶられないはずがない。
 1911年に盗難に遭遇したできごとも、すごく興味深かった。というか、これが絵本のタイトルだったのかとあらためて感じるほど、この事件に至るまでの展開が長い――。イタリア人の犯人は、彼女をイタリアに取り戻したかったと後に白状したそうだが、名画の異常な人気ぶりを考慮すると、理解できなくもない心情かと思えた。現在、ルーブル美術館を訪れる8割の観光客は、モナ・リザ鑑賞が目的だそうだ。
 名画の歴史を、おもしろく、かつ、わかりやすく子どもたちに伝える秀作絵本。

Who Stole Mona Lisa?

Who Stole Mona Lisa?

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