The Carnival of the Aniamls 動物の謝肉祭

 "The Carnival of the Animals"は、詩人プレルツキーが「動物の謝肉祭」をテーマに手がけた詩の絵本。CD付きなので楽曲といっしょに楽しめる。
 ニューヨーク・シュタイナー学校の音楽部長によるあとがきが興味深かった。1886年に誕生して以来、子どもたちへのクラシック音楽入門として広く親しまれてきた同作品は、作曲家の意図とはまったく異なる変遷をたどってきた。制作当初はパロディであったがためにサン・サーンスは公の場での演奏を固く拒み、生前の演奏はわずかに2回。そのうちひとつは親友リストを囲んでの私的なものだったという。戯れの創作によりすでに築かれていた名声を傷つけたくなかったことがその理由だが、彼の思惑とは正反対の軌跡をたどる作品の運命がおもしろい。現在、動物の個性を表現するユーモラスな楽曲は、小さな子どもたちへの音楽教育として多くの現場で利用されている。
 それで本書だけれども、あらためて言及するまでもなく愉快な詩と躍動感あふれるイラストにより、魅力的な小作品に仕上がっている。画家は、米国版ハリー・ポッターの挿画家。質感のあるマジカルな構成にところどころコラージュをあしらい、新しい作風を生み出した。
 音楽といっしょに楽しまなくちゃ。
 確か以前にも謝肉祭の絵本を記していたはず……と探してみたら、ありました。
CARNIVAL OF THE ANIMALS 動物の謝肉祭 - 絵本手帖

The Carnival of the Animals

The Carnival of the Animals

  • 作者: Jack Prelutsky,Mary GrandPre,Camille Saint-Saens
  • 出版社/メーカー: Knopf Books for Young Readers
  • 発売日: 2010/08/24
  • メディア: ハードカバー
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