Interrupting Chicken 父と娘のかけあい漫才

 コルデコット賞オナーに輝いた"Interrupting Chicken"が、むちゃくちゃおもしろかった。印象としては、父と娘のかけあい漫才。会話のテンポ、ニワトリのキャラクター性、とっぴな作中話、二部構成のオチのユーモアに加えて、毎晩本を読んでもらう習慣から伝わる親子の愛情……と、魅力はいくつでも挙げられる。
 就寝前に本を読んでもらうのはいいのだけれど、このニワトリちゃんはいつも夢中になって本の中に飛び込んでしまう。ヘンゼルとグレーテル、赤頭巾ちゃん、チキン・リトルのお話で、いずれも危険が予想される場面になると「ストーップ!」とさけんで入り込み、勝手にお話を変えてしまうのだ。邪魔はしないでねと念には念を押したのに、読み手のパパは疲れるばかり。もう読むお話がなくなってしまったので、今度はニワトリちゃんがパパにお話を作ってあげることに……。
 モーさん絵本に匹敵するお笑い絵本が登場。パステルによる天衣無縫のイラストも、作品にぬくもりを与えている。
 間テクスト性を味わう絵本なので、もとの童話を知らないと面白みは半減するだろう。移民層の子どもたちには難しいかもしれない。
2011年コルデコット賞受賞絵本 - 絵本手帖

Interrupting Chicken

Interrupting Chicken

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