四季の絵本手帖『よかったねネッドくん』

よかったねネッドくん

よかったねネッドくん

パーティーに招かれた主人公ネッドくんのスリル満点大冒険ストーリーです。
 思いもよらない招待状に大喜びしたのもつかの間、ニューヨークに住むネッドくんは、フロリダに行くすべを知りません。でも大丈夫、友だちが飛行機を貸してくれました。ところが出発したのはいいけれど、なんと飛行機は途中で空中爆発してしまいます。でも大丈夫、パラシュートがついていました。ところがパラシュートには穴が開いていて……という幸運と不運の連続が、うれしいできごとは「よかったね!」のカラーページ、行く手をはばむ悪いできごとは「でも、たいへん!」の白黒ページで描かれます。子どもはスピード感あふれる劇的な展開を交互に体験し、まるで自分のことのように一喜一憂することでしょう。奇想天外な事件、予期できないネッドくんの行動には、ハラハラドキドキ目が離せません。「よかった!」「でも、たいへん!」のくり返しは、ジェスチャーを交えた感情表現で遊びたいところです。
 ネッドくんがやっとのことでたどりついた場所は、どこだったのでしょう。最後のどんでん返しが目的地という設定に、子どもは大喜びのはずです。テーブルの上にはこぼれおちそうなほどのごちそうと大きなケーキが置かれ、ケーキには十三本のろうそくの火が揺れていました。大冒険の末のこの晴れやかな気持ちはうれしいごほうびであり、ネッドくんは読者の羨望を浴びることになります。(asukab)