2006-05-01から1ヶ月間の記事一覧

THE ART BOOK FOR CHILDREN 子どものためのアートブック

art

個人的にアートブック、あるいはアート色の濃い絵本に目がない。多分このブログのカテゴリーで、量的に1番多いのではと思うほど。こればかりは見た瞬間に購入が決まっている。 『The Art Book for Children』は、時代もメディアもさまざまなアーティスト30…

感謝の聖母、アルタグラーシア

グアダルーペの聖母(メキシコ)、ファーティマの聖母(ポルトガル)、カリダッドの聖母(キューバ)のように、ラテン諸国にはその土地独自の聖母イメージが存在する。『A Gift of Gracias: The Legend of Altagracia』は、ドミニカ共和国に残るアルタグラー…

ゴリラとあかいぼうし

絵本の思い出を記すことは、楽しいものです。『ゴリラとあかいぼうし (世界傑作絵本シリーズ)』は、動物好きの息子にクリスマスプレゼントとして購入した絵本でした。先週、絵本おじさんのプログを訪ねたところ、この絵本の作者山際寿一さんにお会いしたとの…

ストーリータイム(おはなし会)での改変に寄せて

昨日の記事について、再び考えてみた。規定を打ち出した理由は「著作者が不快と感じる改変がある」ということだった。きっと事例があるから、ガイド作りに至ったのだろう。改変が不快でなければ、こうはならなかったはず。 なぜ、不快な改変が生まれるか。こ…

読み聞かせに規制?

信じられない記事を読んだ。米国ならまず考えられないこと。読み聞かせ(読み語り)の1番の目的は、子どもに楽しい時間を過ごしてもらうことなのに、規制には子どもへの視線がまったく感じられず、大人を守る配慮ばかりだった。 フランネル・ボードでお話を…

The Adventures of Polo かわいい犬のポロの冒険

『The Adventures of Polo』は、フランスのコミック風文字無し絵本。茶色いバックパックを背負いボートで漕ぎ出すポロの冒険には思いがけない出会いがいっぱいで、コマを追うのが楽しくなってくる。雲の上、海の中、火山島、ジャングル、北極、月面、地中と…

今年度を振り返って

メモリアル・デーの週末を迎え、夏到来の気分が高まってきた。夏休みまで、1か月を切る。 昨秋から始めたアート・プロジェクトだが、今年度はもう時間が持てそうにない。週4日、指導員として学校に顔を出しているので、そのたびに「あすかー! 今度のアー…

おしゃべりなたまごやき

子ども時代を振り返るとき、忘れられない絵本があります。『おしゃべりなたまごやき (日本傑作絵本シリーズ)』は弟の愛読絵本でしたが、読んでもらうときは小学生のわたしもいつもいっしょでした。 何百、何千というにわとりの大群と子どものような王さまの…

SEVEN SIMEONS 1938年オナー 王さまとシメオン7兄弟

デューダ王さまは富と権力を持ち、しかも賢く美男子です。でもまだ美しいお姫さまを迎え入れていないので、不幸せで悲しい思いをしていました。ある日、水兵たちからもっとも相応しい姫は航海に10年かかるブーザン島に住んでいることを教えてもらいました。…

ハリケーン観測機、出動!

『Hurricane Hunters!: Riders on the Storm』は、ハリケーン観測機の役割を克明に追うノンフィクション絵本である。今年出版されたばかりの絵本なのにヨレヨレのページが多く、かなりの子どもたちに読まれてきたことが伺えた。でも、読んでみて納得。パステ…

子ども時代の「ちいくまくんとおおくまさん」

子どもたちの小さな頃に出会っておきたかった絵本がある。それはワッデル作「ちいくまくんとおおくまさん」シリーズ。ちいくまくんの1番新しい絵本(シリーズ5冊目)『Sleep Tight, Little Bear with DVD』(邦訳『ぐっすりおやすみ、ちいくまくん (児童図…

やさしくておいしい、はじめての詩

『Orange Pear Apple Bear』は、淡い水彩と4つの言葉がイメージ遊びの楽しさを教えてくれる絵本。表紙を目にしただけで、作品を包むやさしい透明感が伝わってくる。ふんわりと心地よい言葉遊びは、オレンジ(Orange)、なし(Pear)、りんご(Apple)、くま…

空を飛びたい猫

『いやはや』という絵本を見てびっくり。「あれ、この絵本、翻訳されていなかったっけ?」。つい最近までうちにあった『Caramba』を初めて手にしたとき、「そういえばこの絵本、3月に帰国したときに邦訳で読んだなあ」なんて思っていた。なんという勘違い。…

大きなワニがやってくる!

最近、息子といっしょに詩を読み始めた。詩といっても子ども向けの言葉遊びがほとんどだけど。マザーグース以来、何も親しんでなかったから、ミニ・グレイのイラストがお目当てで購入した『The Crocodile Is Coming!』は、取り掛かりとして最適だった。言葉…

ナツメグと魔法のスプーン

『カクレンボ・ジャクソン』に魅せられて、『Nutmeg』を購入した。お鍋やスプーンなどキッチン用品といっしょにマジカルな風に巻き込まれている表紙のナツメグがとってもかわいらしかったし。 ところが表紙の印象とは裏腹に、見返しの光景はうたた荒涼たるも…

ナマケザルの秘密

『Slow Loris』とは、ナマケザルのこと。ロリス科の霊長類で夜行性、動作が鈍いとあった。ノロマザルともいう。 動物園に住んでいるこのスロー・ロリスには、誰も知らない秘密があった。実は夜になると性格が変わったようにすばやく行動する。いかしたつば付…

ワニのエルンストも出てくるクレヴェン最新作

最新作『The Wishing Ball』を手にして、エリサ・クレヴェンの魅力を確かめてみた。彼女の絵本は、お話自体起伏のないものでも手にしてページを捲らずにはいられない。理由を探れば、簡単なこと。非常に個人的なことだが、身体感覚に迫るアートが、わたしの…

シスが描いた神童モーツァルト

お待ちかねの絵本が出た。神童モーツァルトを描いた絵本である。しかも作者は、自身も宇宙的な独自の世界を繰り広げるシス。極めた者が極めた者を描くのだから、共通する感性も多くあったのではと推し量ったりした。 きょろんとした青い目が愛くるしい『Play…

美術館訪問の前に

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草の香りが心地よい季節、揺れる木洩れ日に包まれると思わず時間に取り残された気持ちになる。夏の開放感がほんの一歩手前までやってきて、学年末試験のシーズンだというのに、子どもたちの笑い声は1年のうちで最高のテンションを記録しているかもしれない…

斬新アート マッチ売りの少女

この冬、英語版『The Little Match Girl』を手にして斬新な発想に感心していたら、さっそく邦訳『マッチ売りの少女』が出た。パステルの色見本みたいな表紙から「マッチ売りの少女」はおよそ程遠いイメージになるが、物語を知っている人が抽象、具象の入り混…

レディ・エジソン

『Marvelous Mattie: How Margaret E. Knight Became an Inventor』は、米国人女性発明家マーガレット・E・ナイト(1838-1914)の伝記絵本。少女期から発明家として自立するまでの活躍と苦難の日々を事実に即して描く。息子がちょうど滑車やてこ、歯車など機械…

おふざけちゃんのコンサート

『Pecorino's First Concert (Anne Schwartz Books)』の冒頭、主人公ペコリーノはこの世で1番のおふざけちゃんと断りがあるように、お話もそこここで受けを狙おうとする曲がりくねった展開だった。 お母さんといっしょに始めてクラシック・コンサートに出か…

今の季節にぴったりのコミカル文字なし絵本

本日は、母の日。息子から贈られたラズベリー・ハーブ茶と、主人の焼いたシナモン・ブレッドで朝食。どうもありがとう〜。お昼過ぎは、2ブロック先にある市営ゴルフ場で母の日ゴルフ。日曜日だったので親子連れが多く、9番ホールのあちらこちらで小さな子…

FOUR AND TWENTY BLACK-BIRDS・OLD NURSERY RHYMES 1938年オナー作品

『Four and Twenty Blackbirds: A Collection of Old Nursery Rhymes』は24編の童謡が収録された歌絵本。巻末に内13曲の楽譜が付いている。ほとんどが19世紀全般にわたり親しまれていたもの。年配者からの提供を受けて編集したという童謡は、有名どころだけ…

しあわせって、何だろう?

冬に読んだチャイルド作品で記録してなかった絵本があったので書いておこう。『Hubert Horatio Bartle Bobton-Trent』は、富裕な家庭に生まれた男の子ヒューバート・ホレイショ・バートル・ボブトン-トレント(非常に英国っぽい名前)君が、幸せとは何かを諭…

チャイルド版「えんどう豆の上のお姫さま」

フューシャ・ピンクのペイズリー柄に、実写紙人形のお姫さま。作者がローレン・チャイルドでタイトルが『The Princess and the Pea』*1ときたら、もう手に入れるしかない。……娘といっしょになって「お姫さま」や「妖精」に胸をときめかす自分を思うと、わた…

山椒魚の部屋――サラマンダー・ルーム

原書タイトル『The Salamander Room (Dragonfly Paperbacks)』をそのまま訳したら、何やら純日本文学みたいな題名になった。これも息子が大好きだった1冊。ページをめくる、というより表紙を目にした瞬間から引き込まれるファンタジーに、彼もわたしも酔い…

ゴリラのマービンにげちゃった

帰宅するとアマゾンから包みが届いていた。たとえペーパーバックでも子どもたちの好きな絵本を手元に置いておきたかったので注文しておいたのだ。3冊注文すると4冊目無料のプロモーションを利用して。 そのうちの1冊『Escape of Marvin the Ape (Picture …

ニューヨーク氏の開いたパーティは……

『New York Is English, Chattanooga Is Creek. (Richard Jackson Books (Atheneum Hardcover))』は、全米41都市の地名由来を紹介する絵本。それぞれの都市が土地柄や地名を表した人物となり、ニューヨーク氏の開くパーティに参加する。たとえば「ニューヨー…

木版画が伝える聖フランシス

『The Song Of Francis And The Animals』は、動物と自然をこよなく愛した聖フランシスの人となりを語る絵本。ぬくもりいっぱいの木版画が聖人と動物たち――小鳥、羊、ぶた、やぎ、りす、犬、魚などなどたくさん――のふれあいを柔らかい土色を基調に描く。最後…