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A Dazzling Display of Dogs コンクリート・ポエトリーでつづる犬の個性

'concrete poetry'とは「文字や単語や記号の絵画的配列によって作者の意図を表わそうとする詩」(リーダーズ英和)のこと。視覚にうったえるこの表現方法は子どもたちの間で人気があり、好きな子は詩よりもアートに重きを置いて作品を制作したりする。娘も夢…

Good Dog, Aggie 犬を知っている人にじんとくる

"Good Dog, Aggie (Aggie and Ben)"は地味だけれども、なかなかよい読本だ。犬を飼った経験のある人なら、共感の嵐が吹き荒れそう。「かわいいのだけれど、まったく言うことを聞いてくれないワンちゃん」の飼い主さんが、うんうんとうなずきながらページをめ…

Hip Hop Dog ヒップ・ホップのリズムにのって

ヒップ・ホップのようなリズムが軽快に感じられていたのは、はるか昔のこと。現在はもうクラシック・ピアノしか聴きたくない耳になっている。でも、こんなかわいいワンちゃんのヒップ・ホップなら文字から楽しんでいいかなと思えた。"Hip Hop Dog"では、ヒッ…

Snook Alone 孤独とのたたかい

"Snook Alone"は、ふたつの世界を味わう不思議な絵本だった。 スヌークはテリア犬。南の島の修道院で、ジェイコブ修道士といっしょにのんびりと暮らしていた。ところがある日、島々のサンゴ礁調査をしていたジェイコブ修道士とともに嵐に出会う。修道士は近…

Dog Loves Books ほんやのいぬくん

本の大好きな犬くんが、本屋を開いた。ほんわか好きなものに囲まれて暮らすのって、いいな。荷をほどいて本を並べ開店準備をする犬くんは、しあわせいっぱい。お客さんがなかなかやってこなくても大丈夫。犬くんは流れる時間に運ばれて本を開き、すうっとそ…

City Dog, Country Frog 犬と蛙、美しい四季の物語

都会からやってきた1匹の飼い犬と、田舎の畔に暮らす蛙。犬に話しかけられた蛙は待っていた友だちがやって来ないので、「きみが友だちになって」とお願いした。こうして2匹は愉快に遊び出す。春にはピョンと跳ね、水しぶきを飛ばし、ゲコゲコと声を鳴らす…

I'm the Best カラフル! カズンズ・ワールド

水を含んだ筆と紙の呼吸が伝わってくるような色。ぽたりと落とした水滴や、すうっと引いた線の表情に吸い込まれ、しばし時を忘れて表紙の顔を眺めていた。カラー部分だけ光沢がかった印刷もきれい。ツルツルした表面を指でなぞりながら、みずみずしい感触の…

エミリー・グラヴェットの"Dogs"

おおきな犬、ちいさな犬、こわそうな犬、気よわな犬、うるさい犬、おとなしい犬、あそんでばかりいる犬に、しずかな犬……。"Dogs"には、「わたし」の大好きな犬がたくさん登場します。 グラヴェットの確かな画力が今回も冴えわたり、表情豊かなページに音や動…

Itty Bitty ちいさなこいぬのものがたり

"Itty Bitty"の表紙には、しあわせそうな小犬が一匹。ページをめくると、この主人公をめぐる小さなしあわせが、ほっこりと描かれていきます。 「小さな小さな」……を意味するイティ・ビティという名の小犬はその名のとおり、おやゆび姫ぐらいの大きさです。こ…

Dogs don't brush their teeth 犬好きさんに贈る写真絵本

"Dogs Don't Brush Their Teeth"は、学校の図書館で見かけた愉快な写真CG絵本。ワンちゃんの「これはするけど、これはしない」――犬のすること(Do)と犬のしないこと(Don’t)――を写真とコンピュータ・グラフィックスを駆使してユーモラスに紹介する…

Woof: A Love Story ある愛のうた――犬と猫編

"Woof: A Love Story"は、ある日突然、恋に落ちる犬のお話。悲しいかな、いくら愛を伝えても彼の「ワンワン」は猫には通じないのである。あきらめた犬がトロンボーンを吹き始めると……。 豊かな文章力でつづられる恋物語だった。コラージュ使いのイラストが、…

Always たいせつなあなたへ

たいせつなあなたへ――アリソン・マクギーの新作絵本"Always"に、"Someday"*1(『ちいさなあなたへ (主婦の友はじめてブックシリーズ)』)風のタイトルをつけてみた。見開きごとにひとつのメッセージが続く。大切な人を守りたい気持ちがせつせつと簡潔な一文…

Dog Biscuit いぬビスケットをたべちゃった!

"Dog Biscuit"は、犬の大好きな子どもたちに贈りたい絵本です。文句なしにかわいい。純真な子ども心を丁寧に描写すると、こういう魔法がかったファンタジーになるのですね。 納屋で犬用のビスケットを目にしたブリジットは、何の気なしにそれを食べてしまい…

Dog Day これまた、犬好きさんに贈る絵本

表紙に描かれた半分のお顔が誘ってくれます。『Dog Day』は、ある日、学校に行ってみたら、新しい先生が「犬」だったというお話。先生の名前は、リフ。リフ先生の"Woof! Woof!"に始まって、子どもたちはみんなでしっぽ(人間なので、おしり)を振ったり、体…

犬好きさんに贈る、いぬの絵本

きまぐれ絵本棚の書庫補充ということで、動物関連のおすすめ絵本リストを作成していこうと思います。ねこ*1に続き、今日はいぬの絵本です。絵本手帖にレビューを揃えていない絵本もあるのですが、とりあえず記してある作品に関しては、◆をクリックするとレビ…

Please Don't Tease Tootsie お花にかこまれたかわいいペットちゃん

もろに娘、息子のテイストにぴったりな絵本が『Please Don't Tease Tootsie』です。ペットたちの表情、子どもたちの行為、お花に囲まれたしあわせいっぱいの見返しイラスト……どの視点からも、うちのために作られたのでは……と思えてしまいます。 絵本にストー…

Houndsley and Catina and the Quiet Time 犬猫たちの静かな冬

『Houndsley and Catina and the Quiet Time: Candlewick Sparks』は、ハウンズリー&キャティーナ・シリーズ*1の冬のお話。 このシリーズは子ども向けの初級読本ではあるのだけれど、2匹が独身男女の友情物語を演じているような、大人の雰囲気をほのめかし…

The Dog Who Belonged to No One 小犬と女の子のものがたり

『The Dog Who Belonged to No One』の主人公は、家のない小犬と家業のパン屋さんを手伝う女の子。けんめいに生きる両者の姿を平行させて描き、最後にハッピーエンドとなるお話です。対句形式がリズムを生み、さわやかな余韻をかもします。 時代は20世紀初頭…

Ottoline and the Yellow Cat

『Ottoline and the Yellow Cat』は、ミステリー好きな中学年くらいの女の子が喜びそうな作品です。作者クリス・リデルは名前を日本風にしたら、日本の少女漫画家と見分けがつかないのでは――細かな線描写から日本の少女漫画のような印象を受けました。 主人…

The Pigeon Wants a Puppy!

ハトさんシリーズ最新作。『The Pigeon Wants...』中表紙に出てくるハトさんの欲しい物・やりたいことリストが笑えます。一番目はもちろん「バスの運転」、次が「ホットドッグ」「夜更かし」と続いて、すでにお馴染みとなったおねだりの内容が並んでいます。…

Owney the Mail-Pouch Pooch お手紙守ります 郵便犬オウニーのお話

『Owney, the Mail-Pouch Pooch』は郵便犬として実在したテリア犬、オウニーを描く絵本。1888年10月、雨の降りしきる寒い夜、一匹の野良犬がニューヨーク、アルバニー郵便局に迷いこんだ。野良犬を見つけた職員たちは、手紙の詰ったキャンバス袋に寝そべる犬…

Skunkdog スカンクとなかよしになった犬

『Skunkdog』は実話なのか、どうなのか。 ダンプリングは人懐こい飼い犬だが、嗅覚を持たないため犬社会から阻害されていた。休暇で訪れた田舎でスカンクと友だちになるが、スカンクはもちろんときに本能を返り悪臭を放つ液体を噴射。ダンプリングの飼い主一…

きょうもいいこね ポー!

動物に囲まれた暮らしは、とにかく愉快です。彼らのおかげでどれほど日々が潤っていることか。毎日の会話は、犬(スクーター)、猫(ギャビ、デューク)、雌鶏(ルーシー、ペニー)、金魚・かたつむり(みかん、にぼし、さといも)の絡んだ話題から始まると…

Dog and Bear: Two's Company くまちゃん&いぬくんシリーズ待望の2冊目

『Dog and Bear』*1の第2弾『Dog and Bear: Two's Company』が出るようです。また、ほのぼのとお茶目な世界を展開するのでしょう。春にぴったりの2冊目となりそう。 娘は昨夏から4歳になる女の子と週1回、ご近所のお家で遊ばせてもらっているのですが、最近…

a day, a dog アンジュール――ある犬の物語

クリスマスの7日目 今年最後の絵本はクリスマスに息子に贈った『A Day, a Dog』(邦訳『アンジュール―ある犬の物語』)。デッサンだけで一匹の犬のある一日を描き、人生とは、人間とは……と言った生きる上で原点となる問いに応えてくれる。まだそんなものは目…

Chester チェスターの一人旅

ちょっとシュールでほんのり温かい絵本に出会いました。『Chester』は、寂しげな犬の姿を通して、現代社会の一面を投影させる哀愁帯びた絵本です。同時にアート心もくすぐり、画集として飾っておきたいような風貌も持ち合わせます。 家族のみんなは学校や会…

Dogs and Cats, Cats and Dogs 犬猫・猫犬 さかさま絵本

『Dogs and Cats』は、犬と猫の生態、おもしろ知識をそれぞれ表紙、裏表紙から解説するノンフィクションさかさま絵本です。 さかさま絵本なので、表紙は何も犬でなくていいのですが、アマゾンの登録は犬の表紙でした。猫の表紙には赤地にチャコールグレーの…

Dog Needs a Bone ワンちゃんはホネがほしい

今年もたくさん犬猫関連の絵本に出会ったけれど、中でも『A Dog Needs a Bone』はコミカルに犬の習性が描かれていて微笑ましかった。タイトルのまま、とにかくこの寝坊すけまなこのワンちゃんは、ごちそうのホネが欲しくてたまらない。でも奥さまはなかなか…

Poor Puppy いたずらワンちゃんは、ネコちゃんと遊びたくてしかたがない

『Bad Kitty: Cat-nipped Edition』*1の続編が『Poor Puppy (Bad Kitty)』。今度は「行き」がABCを数字で絡め、「帰り」はさらにABCの頭韻で笑いを誘うという趣向だった。やっぱり前回と同様、笑っちゃう。 黒ネコちゃんと遊びたいのに遊んでもらえないワン…

Polo: The Runaway Book ポロが本を追いかけるお話

『Polo: The Runaway Book (Adventures of Polo)』は、盗まれてしまった大好きな本を取り戻そうとポロが冒険を繰り広げるお話です。いつになく、場面から場面への移行が独創的と感じてしまったのは、やっぱりイマジネーションを養う「本」がテーマだったから…