ぼくとサンショウウオのへや

この絵本、息子もわたしも大好きだった。タイトルは、"The Salamander Room"。友だちの誕生プレゼントにも贈ったりして、思い出がいっぱいだ。ついに邦訳が出たとのことで、マジカルな世界が日本語でも楽しめるようになった。 思い出のつまった原書の書影も…

The Bat Scientists コウモリのすべて

昨日に続くシリーズ。こちらは、コウモリについて詳しくレポートされている。対象はやはり高学年から中学生ぐらい。サイエンティストたちの活動を見ていると、いろいろな研究分野があるのだと思い知らされる。The Bat Scientists (Scientists in the Field S…

The Hive Detectives: Chronicle of a Honey Bee Catastrophe ハチのノンフィクション

小学校高学年から中学生ぐらいに向くハチのノンフィクション写真絵本。かなり詳しいので、じっくり学びたいときに開くといい。現代の養蜂産業について、たくさん記事が載っている。 クマのプーさんのように、ハチミツが食べたくなってきた。The Hive Detecti…

Growing Patterns: Fibonacci Numbers in Nature 自然界の不思議な数

フィボナッチ数と呼ばれる数列を紹介するノンフィクション写真絵本。この数列は古代インドですでに発見されていたけれど、イタリアの数学者フィボナッチが有名にしたらしい。 絵本では花びらやまつぼっくりの種などを用いてフィボナッチ数を説く。 1+1=…

ムーク せかいをひとまわり

原書はフランス語。英語版を見てかわいいなあと思っていたら、日本語版『ムーク せかいをひとまわり』も出たみたい。くまのムークといっしょにせかいをぐるり。 以前、娘にプレゼントした読み物のアートを担当したイラストレーター。70年代っぽいイラスト…

Emma Dilemma: Big Sister Poems おねえちゃんとよばれて

臨場感あふれる設定、いきいきとしたイラストが、姉妹の日常を活写する詩の絵本。 ジェシカは4年生。妹のエマはまだ小さい。エマはおねえちゃんが大好きで、いつもおねえちゃんを追いかける。笑顔をふりまく妹は、かわいいけれど、いたずらもしほうだい。ジ…

Guyku: A Year of Haiku for Boys 男の子のこころ

またもや、男の子のおかあさんたちが胸を熱くしそうな絵本。こちらは男の子の個性を四季をとおしてうたう俳句の絵本。俳句というよりHaikuと記したほうがいいのかな。読んでいると元気な男の子たちを想起せずにはいられない。 配色に工夫を施したイラストに…

Tiny Little Fly ちっちゃなハエくん きょうはみんなで名作だ! 

おや、おや、 ちっちゃなハエくんがとんできたよ! ゾウはウインクをして「つかまえてやるぞう!」――。のっし! どしん! のっし! でも、ハエくんはにげていく。おや、おや、 ちっちゃなハエくんがとんできたよ! カバはウインクをして「つかまえてやるわい…

Fiesta Babies メキシコのあかちゃんたち

リズムがよくて、カラフルで。ぬくもりを感じさせる手作り感、そして民族への誇りが"Fiesta Babies"の魅力。ぴちぴち明るくはじける赤ちゃんたちが、たのしくお祭りを盛り上げる。フィエスタ、シエスタ……「あ音」でおわる語感だけで、元気になれそう。Fiesta…

Little White Rabbits イマジネーションであそぼうよの絵本

ぴょん、ぴょん、ぴょん――。元気な白うさぎが草むらをかけぬけて、「みどりになるって、どんなかな…」。森の木立ちをとおりすぎ、「せいたかのっぽになるって、どんなかな…」。岩をとびこえて、「うごかないって、どんなかな…」。 好奇心旺盛なイマジネーシ…

Rubia and the Three Osos スペイン語でたのしい3びきのくま

"Rubia and the Three Osos"は、誰もが知っているお話をとおしてスペイン語の単語が学べる絵本。よく知られているからこそ、作中の「くま」「スープ」「パパ」「ママ」「ぼうや」「熱い」「冷たい」などの単語を外国語にすりかえても、お話はちゃんと伝わる…

Brownie Groundhog and the February Fox グラウンドホッグ・デーのものがたり

春待つ米国人がけっこう気にしている「グラウンドホッグ・デー」。わたしは渡米するまでこの子どものおまじないのような「ならわし」のことを知らず、春を待つ占いについてほほえましく思ったものだった。リーダーズ英和辞典には、次のように定義されている…

2011年イースター絵本のリストを作りました

今年の復活祭は4月24日。数は少ないのですが、リストをあげてみました。虫干し的な意味もあり、埋もれていた絵本を引っ張り出してきました。 小見出し、あるいは◆をクリックすると、レビューに飛びます。good egg かわいいたまごの絵本 - 絵本手帖たまご…

カップケーキのバニラくん

"Cupcake"の邦訳『カップケーキのバニラくん』。 今レビューを読みかえしてみると、バレンタインにもいいと書いていたので、あわててバレンタイン絵本リストに加える。 この色合いを見ると、いつもアッパー・ミドルの女の子ワールドを連想する。何というか、…

ジェイムズ・メイヒューの名画紹介「ケイティ・シリーズ」

子どもたちが小さなころ馴染んだジェイムズ・メイヒュー絵本の翻訳が出た。ケイティといっしょに名画探訪ができるこのシリーズは、アーンホルトによる一連の名画シリーズとあわせておおいに魅せられた。お話の中に入り込み、名画と交わるなんて最高。これか…

Me, Frida カーロ・フリーダの旅立ち

メキシコの女性画家カーロ・フリーダを語るノンフィクション絵本。代表作の一つ「フリーダとディエゴ・リヴェラ」の生まれた背景を描く。 若く無名だったフリーダは1930年11月、夫であり、すでに名声を得ていた画家ディエゴ・リヴェラとともにサンフラ…

Bedtime for Bear 男の子の習性

冬眠しようとしているところに、アライグマの友だちが遊びにきた。断るにもかかわらず、遊ぼう、遊ぼうとひきさがらない。「ねようとしているところなんだよ、くまはねるんだ!」と言い終わったところに、雪の玉がポーンと顔に命中。怒ったくまは雪の中に転…

Poem in Your Pocket for Young Poets 中高生のための新しいポエム・ブック

誕生日プレゼントに"Poem in Your Pocket for Young Poets"を買った。ここにはディキンソンやフロストらを含めた古典からモダンまで、100編の詩が紹介されている。 この詩集がユニークなところは、「本」ではないという点。体裁はまるで、ハードカバーに…

Out of Sight 大きくて楽しい、かくれんぼのあてっこ絵本

art

"Out of Sight"を手にして、驚愕。大きい。楽しい。アート感覚、遊び心にあふれている。こういうしかけ絵本を見てしまうと、「さすがフランスの絵本だ!」と誰が賛辞を述べずにいられよう。 基調はモノクロ。窓のようにめぐらされためくりを開くと、そこに動…

Pocketful of Posies このハンド・クラフトを見よ

"Pocketful of Posies: A Treasury of Nursery Rhymes"はマザーグースの童謡をまとめた絵本なのだけれど、とにかくそのハンド・クラフトに目がくぎづけ。素材は自然着色の羊毛フェルト、刺繍糸、木の球、小石などなど。丹精な刺繍がほどこされ、登場人物たち…

Snow Rabbit, Spring Rabbit 卯年の立春に読む絵本

"Snow Rabbit, Spring Rabbit: A Book of Changing Seasons"は、卯年の立春に読むのが最高〜と思っていたのに、ずっと忘れていた。冬から春へのうつりかわりを独特の手法で表現した絵は、ふくろうさんのおやすみ絵本と同様に繊細でうつくしい。 →A book of S…

卒業生に贈る絵本

卒業生に贈ったらすてきだろうな……と思った絵本をまとめてみました。幼少時代の姿や成長を描く絵本、人生を指南する絵本、心のビタミン剤になりそうな絵本etc.を並べています。 すべてではありませんが、◆をクリックするとレビューに飛びます。 子どもの成長…

April and Esme Tooth Fairies リアルな妖精たち

"April and Esme Tooth Fairies"は、非常にボブ・グラハムらしい絵本だった。妖精のおとぎ話を美化せず、日本的に表現すれば「主人公を下町の人情あふれる情景とともに描く」いつもの手法が冴えていた。 主人公は歯の妖精エイプリルとエスミの姉妹。この歯の…

Underground: Finding the Light to Freedom こどもたちに語るどれい制度

"Underground"は、単純明快に奴隷制度の背景を語った絵本だ。自由を求めて逃亡した人々の息づかいを、わかりやすい言葉と絵で伝える。たとえば冒頭はこんな感じ。 The darkness. ページをめくった次の見開きで、 The escape. さらにページをめくると、 We ar…

Crow からすくん

真っ黒で、大きくて。たのしそうにおしゃべりすることりたちの仲間に入りたいけれど、からすくんはその身なりから恐れられている。友だちになりたいな、でも、だめみたい。真っ黒だからいけないんだ。もっとちがう姿だったらよかったのに。そうだ! 体中に色…

まちのいぬといなかのかえる

大好きなモーさん絵本の翻訳が出ました。『まちのいぬといなかのかえる (大型絵本)』は、季節のめぐりをとおして犬と蛙の交流を描くやさしくて、うつくしいストーリー。今年のコルデコット賞にオナーぐらいで入選するかなとも思った作品でした。 →City Dog, …

Slowpoke のんびりいこうよという本

まるで自分のことのように読んだ"Slowpoke"がおもしろかった。 フィオーナはのんびりやさん。お風呂はゆっくり、朝の身支度にも時間をかける。歯みがきは1本につき32回のブラッシング。着替えは58回。父親の「バスが出ちゃうよ〜」のひとことも気にせず…

Counting on Snow さむい国の数の絵本

"Counting on Snow"は、極寒の土地で暮らす動物たちの数の絵本。カリブー、野ウサギ、オオカミ、シロクマ、ムース……。ページにはたんに動物たちが現れて、その数が10からのカウント・ダウンで示されるのみだけれど、おしまいに向かうにつれて雪が舞いはじ…

岩波ジュニア新書144 和歌の読みかた

バレンタインを前に、恋の歌は「古今集」という竹西寛子さんのことばを思い出した。和歌の恋は、苦しい恋ばかりだけど。 恋歌もたくさん載っている『和歌の読みかた (岩波ジュニア新書)』は中高生におすすめの本。いや、中高生だけでなく大人にも、もちろん…

The Secret River ひみつの川のものがたり

"The Secret River"は、1956年ニューベリー賞オナーの絵本版。同作はピューリッツァー賞作家が唯一、子どもに書いた物語という。ただしこの絵本版は、原作を少し短くしたようだ。 主人公は女の子カルピューニア。森の苦しい暮らしを救おうと、賢者のおば…