winter
春待つ米国人がけっこう気にしている「グラウンドホッグ・デー」。わたしは渡米するまでこの子どものおまじないのような「ならわし」のことを知らず、春を待つ占いについてほほえましく思ったものだった。リーダーズ英和辞典には、次のように定義されている…
冬眠しようとしているところに、アライグマの友だちが遊びにきた。断るにもかかわらず、遊ぼう、遊ぼうとひきさがらない。「ねようとしているところなんだよ、くまはねるんだ!」と言い終わったところに、雪の玉がポーンと顔に命中。怒ったくまは雪の中に転…
"Snow Rabbit, Spring Rabbit: A Book of Changing Seasons"は、卯年の立春に読むのが最高〜と思っていたのに、ずっと忘れていた。冬から春へのうつりかわりを独特の手法で表現した絵は、ふくろうさんのおやすみ絵本と同様に繊細でうつくしい。 →A book of S…
卯年にちなんで、うさぎの絵本。"Bedtime Bunnies"は、擬態語・擬音語だけでうさぎたちの心象を表現する。 うさぎの兄弟姉妹が冬を迎え、雪の夜をどう過ごすのか。外遊びから戻り、夕食、お風呂。彼らの立てる「ぴょん」だったり「ごくん」「かりっ」「ちゅ…
……と、タイトルは日本語で書いたものの、実際に読んだのは英版"Here Comes Jack Frost"のほう。ずっと読みたいと思っていたのだ。もう、すごくよかった。作者の感性に感心しっぱなしだった。 友だちの動物たちが冬眠に入り、遊び相手が誰もいない。すると退…
人気画家による"The Mitten"だったので注目。おなじみのウクライナ民話が、北米の冬のお話に生まれ変わった感じだ。おばあちゃんから編んでもらった赤いてぶくろは、リス、ウサギ、キツネ、クマ、ノネズミに煖を提供するのだけれど……。 おばあちゃんちの様子…
都会に出てきたくまのアディス。街はあまりにも巨大で騒がしく、ふと、彼は何のために街にやってきたのか忘れてしまった。そこで出会う人々の喜怒哀楽は、クリスマスを迎え、一年を振りかえるのにもお似合いの光景だ。ひとりぼっちの街角には、アディスと同…
クリスマスの頃に読んでいた『The Snow Day』。原書は『ゆきがやんだら (学研おはなし絵本)』で、今から約3年前に出版されている。 雪の降る一日の描写は、静かで美しい。それゆえ英訳されたわけだけれど、わたしには孤独感の描かれた絵本という印象が強かっ…
クリスマス期に出会った絵本は何かしら魔法がかっており、手にするだけで作品に不思議な息を吹き込まれるような気がします。『Story Blanket, the』もそのような一冊で、ストーリーの内容とあい重なり心がほかほかしてきました。 ザラおばあちゃんの住む村は…
ふたたび雪。外界が白一面に覆われると不思議なもので、いろいろな想いが顔をのぞかせます。これは、雪国が思索に向く証でしょう。氷と雪に閉ざされた冬は純白なだけに、人の心を清め、透明な気持ちで事象を見抜く力を宿してくれるかのかもしれません。この…
昨日*1に続き、絵本シリーズ「のばらの村のものがたり」(全8巻)から、その5となる『ひみつのかいだん (のばらの村のものがたり (5))』をご紹介。 本書では、冬至まつりの準備に忙しいだんしゃく家の樫の木館を舞台に、屋根裏部屋で見つけた秘密の階段を探…
「のばらの村のものがたり」(全8巻)――ずっと欲しかった絵本が復刊され、さっそく季節にお似合いのお話から読み始めました。シリーズその4は『のばらの村のものがたり(4)雪の日のパーティー (講談社の翻訳絵本)』。大雪に見舞われたら、ご先祖のしきたりを…
クリスマスがテーマではないけれど、今頃の季節にぴったりの、ほっこり心のあたたまる絵本に出会いました。ティファニー・ビークのイラストということで、これだけでもうほろり――絵本との恋に落ちてしまうのですが、しかし、文章を読むまでわかりません。で…
『Toys Go Out: Being the Adventures of a Knowledgeable Stingray, a Toughy Little Buffalo, and Someone Called Plastic』*1の第2弾『Toy Dance Party (Toys Go Out)』が9月に出た。おもちゃ3トリオとの再会に、わたしも娘もワックワク。彼女は1冊目を再…
ねこはコタツで丸くなる――と、ならないのが『A Kitten Tale』の猫たち。でも、4匹目の猫を除いて、みんな「雪はきらいだよね」と申し合わせていたのが、いざ雪が降ってみると話が変わってくる。4匹目の猫は、最初から雪を心待ちにしていた。 巡る四季の美し…
『しんせつなともだち』『ゆきのひのおくりもの (パロル舎選「ペール・カストール」シリーズ)』で知られる中国の「ぐるぐる話」に、もう一冊『Rabbit's Gift』が加わりました。 うさぎ→ロバ→羊→……友だち思いの心優しい動物たちが、食べ物の少ない冬にカブを…
クリスマスの6日目 『Danny's First Snow』は、初めての「雪」を体験するうさぎの坊やダニーが描かれる絵本。雪の初体験を描く絵本はよく見かけるのだけれど、この絵本を特別なお気に入り枠に入れる理由は、その描写が非常に詩的であるという一点に尽きる。…
ここのところ冷え込みが厳しくて、そんな理由もあったからか、道を歩きながらふと思い出したがお話が『まいごになったおにんぎょう (岩波の子どもの本)』だった。 主人公は、手のひらサイズの小さなお人形。不幸にも持ち主の女の子から粗末に扱われていて、…
『おへやのなかのおとのほん』(原書『The Indoor Noisy Book』)は、こんな風に幕開く。 こいぬのマフィンは かぜをひきました。 きょうは そとにはでられません。 いちにちじゅう おうちのなかで、 ちいさなねどこに ねかされることになりました。 静かに…
絶対水曜日に記録しておきたいと思ったのが、『What Happens on Wednesdays』です。タイトルの通り、おはようからおやすみまで、お父さん、お母さんと過ごす水曜日の一日を語るだけのお話なのですが、これが深まる秋頃に相応しく、しんみり子どもの時間を見…
あのはらぺこウサギたちが帰ってきました。『むしゃ!むしゃ!むしゃ!―マグリーリさんとはらぺこウサギ』(原書『Muncha! Muncha! Muncha! (Anne Schwartz Books)』)の続編が『Tippy-Tippy-Tippy, Hide!』です。 冬が到来し、はらぺこウサギたちが寒さをしの…
メンフクロウの生態をわかりやすく語る絵本が『White Owl, Barn Owl』です。自然や科学を扱うノンフィクションの題材も、こんな風にストーリー性を持たせると内容がぐーんとこちらに近くなるものなのだ――と、その距離感に至極感動した絵本でした。 霜の降り…
『Winter Song』は、シェイクスピアのラブコメディー"Love's Labor's Lost"(「恋の骨折り損」)からの詩一編を絵本にした作品。エリザベス朝時代、人々がどんな風に冬を過ごしていたのかが情景豊かに伝わってくる。氷砂糖を溶かしたかのようなパステルとコ…
人差し指で曇りガラスに絵を描いて、ひんやり冷たくなった指先などまったく気にもせず、あっという間に曇りを拭ってしまうお絵かきは子どもが大好きな遊びです。透明になった部分から見える向こう側の世界をのぞくことも、ちょっとした楽しみだったり。スペ…
春まっさかりの頃、秋冬に読みたかった絵本が届きました。心待ちにした絵本を手にしてときめきましたが、レビュー執筆は明らかに季節はずれ。でも、ここのところ忙しくてぽろぽろ抜けていた日があったので、そんなところに記していこうと思い直しました。 ま…
絵本『ふゆねこさん (世界の絵本)』(原書『Winter Cat』)は、モノトーンの世界で繰り広げられるお話です。はいいろ猫と子どもたちの交流が、冬のさみしさとぬくもりを通して味わい深く描かれます。 夏生まれのこの猫は、初めての冬を体験します。空からひ…
『Terrible Storm』は、作者*1の二人のおじいちゃんが語る実話を描いた絵本である。ときは1888年、暖冬のまま春を迎えるのかと思えた三月半ば、突然の大雪が東部ニューイングランド、ニューヨーク地方を襲った。雪は三日間降り続き、記録的な豪雪となる。 家…
季節はずれの絵本レビュー。ルチア伝説をもとに描く絵本『Lucia and the Light』(邦訳『おひさまは どこ?』)は、雪と氷に閉ざされた北欧の冬を舞台に、太陽を取り戻そうと旅に出た女の子ルチアの勇気を描く。伝説・風習をもとにした物語はあらすじがわか…
娘の宿題に北極ぐまや北極きつねが出てきたので『ここは、冬の北極』(原書『Here Is the Artic Winter: Here is the Arctic Winter』)を読んだ。 ぶるるるるる、冬の北極。この絵本には零下50度の世界に生息する動物たちの厳しい生きざまが、美しいイラス…
どうしてみんな、そとであそんでるわけ? ぼくが ほらあなで ぐーすか ねむっているあいだに。冬眠に入れないこぐまが不満をもらす。そうだ、いいことをおもいついたぞ。こぐまは動物たちを呼び集め、彼の偉大なる夢を語り始めた。うさぎとかけっこして、ム…