ペーテルとぺトラ

 ふたたび雪。外界が白一面に覆われると不思議なもので、いろいろな想いが顔をのぞかせます。これは、雪国が思索に向く証でしょう。氷と雪に閉ざされた冬は純白なだけに、人の心を清め、透明な気持ちで事象を見抜く力を宿してくれるかのかもしれません。この歳になると、寒さはもちろん嫌い。でも、この寒さと白さがなければ見えないものもたくさんあるのだと思いなおしています。
 『ペーテルとペトラ (大型絵本)』を読み、あらためて明日から学校なのだと思い知らされました。娘は喜んでいるのですが、加齢とともにわたしは仕事初めが億劫でしかたありません。しかし、この雪だとどうなることやら。もしかしたら、また休校かもしれません。「いえ〜い!」と叫んだのは宿題がたまっている息子でした。でも、まだ取り組んでいないという、この余裕……。雷を落とすことは、もう、とうの昔に諦めています。
 さて、絵本のお話は……。9月の新学期を迎え、グンナルのクラスに小人のペーテルとぺトラが入学します。彼らは小さくても、お勉強はいつも一所懸命。たちまち人気者になり、クラスに溶け込みました。ある晩、公園でスケートを楽しんだ後、グンナルはペーテルとぺトラの家を訪ねます。でも「大きい人」は中に入れないので、みんなでスケートに出かけることにしました。大きい人たちはもう、誰一人滑っていませんから。
 小人ということでお話はファンタジー。でも、ごく普通に転校生が入ってきたように子どもたちはペーテルとぺトラと交流します。もちろん、先生も。その心のつながりがあたたかく、不思議なお話であるにもかかわらず、普通さが魅力の物語です。
 クリスマス休暇が終った後、ペーテルとぺトラは……。今夜、読むのがぴったりのお話でしたね。
 イラストは、大好きな画家。ただ、いつものような妖精的な画風*1,*2ではなく、物語の絵としてかわいらしくまとまっています。ほんのり少女漫画風かもしれません。
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ペーテルとペトラ (大型絵本)

ペーテルとペトラ (大型絵本)