ちいさな ふゆのほん

 春まっさかりの頃、秋冬に読みたかった絵本が届きました。心待ちにした絵本を手にしてときめきましたが、レビュー執筆は明らかに季節はずれ。でも、ここのところ忙しくてぽろぽろ抜けていた日があったので、そんなところに記していこうと思い直しました。
 まずは、『Our Apple Tree*1でファンになった作家・画家コンビによる『ちいさなふゆのほん (世界傑作絵本シリーズ―スウェーデンの絵本)*2,*3です。アクリル画の厚塗りが印象的だったりんごの絵本に比べ、イラストがさらりと水彩の特徴を生かした感じです。でも、描かれている自然や子どもたちの姿は、素朴で愛らしく、自然賛歌という共通のテーマが感じられました。冬って、楽しい季節だったんだなあと再認識させられたというか。動物たちの冬、雪遊び、雪の色、雪の音……、絵本には冬の楽しみがたくさん描かれます。表紙にたたずむ子ども二人によって、美しく、素朴に語られるのです。ときに彼らは冬の妖精になったかのように、動物たちと同じくらいの大きさになって登場したりします。これは、りんごの絵本でも同じでした。
 そういえば今冬、息子とこんな会話を交わしていました。

「こうちゃんは、どの季節が好き?」
「冬かなあ。クリスマスがあるし、お誕生日もすぐくるし、雪が降ってスキーができて楽しいから。ママは?」
「ママは、夏かなあ。ビーチや裏庭が大好き。それにママ、夏生まれでしょ。冬は小さな頃は大好きだったけど、今は寒くて。もう、おばあさんになっちゃったね」……

 絵本でも現実でも、自然の中で自然をそのまま受け入れる子どもと、そうでなくなってしまった自分を実感しました。
 絵本の子どもたちが――この画家の描く子どもなので愛らしいことはわかっていましたが――とにかく魅力的で、ぎゅっと抱きしめたくなってしまいます。自然と子どもをたたえる、愛しい冬の絵本です。(asukab)
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  • 子どもたちのきょろんとしたつぶらな瞳がたまりません

ちいさなふゆのほん (世界傑作絵本シリーズ―スウェーデンの絵本)

ちいさなふゆのほん (世界傑作絵本シリーズ―スウェーデンの絵本)