ゴリラとあかいぼうし

 絵本の思い出を記すことは、楽しいものです。『ゴリラとあかいぼうし (世界傑作絵本シリーズ)』は、動物好きの息子にクリスマスプレゼントとして購入した絵本でした。先週、絵本おじさんのプログを訪ねたところ、この絵本の作者山際寿一さんにお会いしたとのこと。そこで久しぶりにゴリラ語の絵本を開き、愉快なゴリラたちの言葉・コミュニケーションを楽しみました。
 動物の言葉は、大人にしても子どもにしても魅力です。この絵本のゴリラ語は、こんな風に続きます。「ふるるるる ふるるるる ぐるるるる ぐるるるる」「ふにっく こっこっこっ ふにっく こっこっこっ」「ぐっ ぐうううむ ぐっ ぐうううむ」「ぺこぺこぺこぺこ こっこっこっ こっこっこっ」――。男の子がジャングルに落としていった赤い毛糸の帽子をめぐり、ゴリラの子どもたちが取り合いっこ。一方、帽子をなくしてしまった少年は、半泣きです。さあ、どうなるのでしょう。
 イラストは地元コンゴ出身でゴリラの生態に通じている画家にお願いし、内容も山際さんと2人で話し合いながら作り込んでいったそうです。どうりで、です。自然の神秘に通じる目がゴリラたちの生活を生き生きと描き、ページを開けばそこからジャングルの風が渡ってくるかのようなのです。茂みの緑と帽子の赤が鮮やかに映え、見とれている間にも、ゴリラと少年たちの過ごした時間がゆったりと伝わってきました。
 再び読んでみて、自然に近い生活の豊かさが堪能でき心が洗われました。ゴリラたちと共存するコンゴの人々の暮らしは、人類の理想でしょう。地上の楽園とは、このような地を指すのだとあらためて感じました。(asukab)

ゴリラとあかいぼうし (世界傑作絵本シリーズ)

ゴリラとあかいぼうし (世界傑作絵本シリーズ)