大きなワニがやってくる!

 最近、息子といっしょに詩を読み始めた。詩といっても子ども向けの言葉遊びがほとんどだけど。マザーグース以来、何も親しんでなかったから、ミニ・グレイのイラストがお目当てで購入した『The Crocodile Is Coming!』は、取り掛かりとして最適だった。言葉から生まれるイメージの連想が楽しくて、絵本と同じように母と子の時間が楽しめる。
 作者が前書きで語るように、53編の詩の表情はとても豊かである。お話の詩、行頭の文字をつづる詩(アクロスティック)、タイトルがとんでもなく長い詩(タイトルが5行で肝心の詩のほうが2行)、会話の詩、音節を増やしていく詩、言葉遊び、文字で形を作る詩、ジョークなどなど、定型詩、自由詩、とにかくさまざまな形の詩が登場する。歌われているのは学校、動物、自然、食べ物……と子どもに身近な内容で、思わず笑いがこぼれたり。「わかるよ、その気持ち!」と心がぴくりと反応する詩ばかりだ。
 小学生向き詩集だけど、絵本や詩といった言葉の輝きに触れる創造物に年齢など関係ないはず。絵本や詩を読むときって、「子どもと感性が同じ」と実感できるからうれしいな。この時間を大切にできる理由は、この一体感だろう。
 残念ながら書影なし。縦横約8センチ×5センチの(ぺらぺらの、でも持ち運びには便利な)ペーパーバックである。本文のイラストもカラーがよかったなあ。そうなるとやはりハードカバーがいいな、とないものねだりをする。(asukab)