クモくんの日記『Diary of a Spider』

 ベストセラーとなった『Diary of a Worm』(邦訳『ミミズくんのにっき』)の姉妹編『Diary of a Spider』が人気を呼んでいる。今度はミミズくんの親友クモくんの3月1日から8月1日までの日記が紹介される。本シリーズの人気の秘密は、等身大の虫たちの生活が彼らの視点でかつ、擬人化されて描かれている点だろう。たとえば見返しはクモくんの写真アルバムといった体裁。孫を抱き微笑むおじいちゃん、初めて自分で作ったクモの巣の前でポーズをとるクモくん、庭で見つけた壊れたおもちゃとの記念撮影などなど。お気に入りの本は『Charlotte's Web』(邦訳『シャーロットのおくりもの』ということで、クモの活躍する児童書の表紙もいっしょにご紹介。なるほど、これは親近感が湧く。子どもにしてみたら、クモくんの暮らしぶりは自分たちと何ら変わりないものね。日記の中で紹介される学校や公園での光景には、知らず知らずのうちに「ぼくと同じ!」「わたしもそうだった!」という共感で胸が高鳴ってしまいそうだ。ミミズくんの家でお泊りすることなども非常に身近である。昔はハエと抗争していたクモだったが今は時代が変わった……とおじいちゃんが話してくれるところは米国社会を反映しているように思えた。
 虫の生活を通して米国の子どもの生活が垣間見れる愉快なシリーズ絵本である。人間の生活臭をにじませながら彼ららしさを描くバランス感覚が絶妙なんだろうなあ。この次は、ハエちゃんのあたりの日記かな……。うちでは子どもたちよりも主人が喜んで見ていた。そうねえ、たぶんミミズくん、クモくんは彼の教える小学2、3年生ぐらいなのかな。正直な子ども心が描かれているから、教師の目から見てもクスクス笑えるらしい。(asukab)

Diary of a Spider

Diary of a Spider