四季の絵本手帖『月夜のみみずく』

月夜のみみずく

月夜のみみずく

 冬の月夜、森へみみずくを探しに出かける心の高まりがうたわれた詩の絵本です。静寂の森、月光、肌に刺さる空気、みみずくを呼ぶ声――自然を敬愛する2人の作家が描く光景からは、ぴんと張りつめた凍てついた空気が伝わります。実際に冬の森を体験している作者たちであるからこそ、再現できた作品といえるでしょう。
 絵本を通して冬の自然と触れ合えることは、子どもにしてみれば貴重な体験です。詩はみみずくとの出会いに胸を踊らせながら、けれども迷惑はかけまいと父親の後を追う小さな女の子の語りで進むので、子ども同士気持ちが共有できるに違いありません。音を立てまいと気遣いする彼女の真剣さが、このできごとがいかに特別で待ち望まれていたものなのかをよく物語っています。「ほうーほう ほ・ほ・ほ ほーーーう」とみみずくに話かける瞬間は、月光と雪の白さに心が洗われるかのようです。
 イラストは構図がすばらしく、森の息づかいが大胆に繊細に描写されます。真実の美しさは誰の胸をも打つ摂理が、あらためて感じられる絵本です。(asukab)