思いやりの交換

 「くまさんの間にハートのある絵本読んで」と娘が言うので、『くまふうふのバレンタイン』を読む。原書『The Valentine Bears (Clarion Books)』をクラスで見かけ、思い出したらしい。この作品、米国でバレンタイン絵本といえばまず最初に挙がる名作なのに、日本では知名度が低いかもしれない。というより、バレンタイン絵本自体まず少ない。
 これは、仲良しくま夫婦ベティーとボビーのバレンタインを描く愛情物語。目覚まし時計を2月14日に合わせてあたたかい眠りについたベティーが、バレンタインデーに目を覚ます。ボビーにないしょで、さっそく準備にとりかかり……。
 作中「ほかほか」を越えて「あつあつ」の愛情がたっぷり描かれていて、ちょっと照れてしまったりする。「とうみんちゅうでも たいせつなバレンタインデーは、おきておいわいしましょうね」に始まって、「あたたかいボビーのせなかによりそって、ベティーはすやすやとねむりはじめました」「ボビーのはなにやさしくキスしておきました」「バレンタインデーに あいするひとといっしょに すごせるなんて、ほんとうにすてきね」――。ボビーとの会話など、目の前でハートマークがたくさん飛び交っている風、ほわん。幼稚園や低学年の教室には必ず置かれている絵本なので、仲良しカップルってすてきだね、と子どもたちに伝える作品かな。バンチングの文章が逸品なのだ。
 この後、夫婦はお互い贈り物をするのだけれど、相手をいたわる気持ちの優しさといったら……。日常で忘れがちな思いやりのあり方が描かれていて、こんな気持ちが一生持てたらすてきだろうなとあらためて感じることになる。
 やっぱり、みんな仲良しがいい。大切な人を大切にし続ける人生が1番しあわせなんだと教えてもらう。(asukab)

  • 邦訳は絶版?

くまふうふのバレンタイン

くまふうふのバレンタイン

  • 作者: イヴバンチング,ジャンブレット,Eve Bunting,Jan Brett,とくまるようこ
  • 出版社/メーカー: 新世研
  • 発売日: 2000/02
  • メディア: 大型本
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