Sally Jean, the Bicycle Queen サリー・ジーンは じてんしゃクイーン

 赤ちゃんのときはお母さんの自転車の荷台、二歳になって三輪車、四歳での補助輪走行を経て、五歳で自転車に乗れるようになったサリー・ジーン。その後、自転車の座席を高くして八歳までずっと愛車「フラッシュ」に乗っていたけれど、ついに小さすぎて支障をきたすようになる。新しい自転車は、家計に余裕がないので買ってもらえない。さあ、どうするサリー・ジーン。自称「自転車クイーン」は、どんな行動を起こすのか。
 日本滞在の二か月目。ほんの少しホームシックにかかった娘を救ってくれたのは、一台の自転車だった。ピンクのかご付き自転車は以来彼女の愛車となり、ホームシックはどこへやら。学校が終れば校庭で、時間を忘れて風を切っていたそうだ。
 娘も息子も、大の自転車好き。わたしは乗れるようになったのが小学校に入ってだったからか、自転車は用足し以外の目的で乗らなかったような気がする。でも、子どもたちは違う。二人ともプレスクール時代から味を占め、アウトドアジーな爽快さを楽しんでいるようだ。
 母からホームシックと自転車の関係を聞いていたので、娘が帰ってきたら、いの一番に読もうと思っていた『Sally Jean, the Bicycle Queen』。内容がサリー・ジーンの成長物語でもあるからか、息子のほうがじっくり聞いていた。彼女は帰国の興奮冷めやらず――部屋をベイビーピンクに塗り替え、べディングも花をテーマに揃えてみた――絵本を読むより真新しい環境で遊びたがった。
 さわやかに弾けるペン画と水彩のイラストが、自転車の楽しみを存分に伝えてくれる。(asukab)
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  • 躍動感のあるイラストが親しみやすくて、なかなかの味わい。画家がフランス人だから?

Sally Jean, the Bicycle Queen

Sally Jean, the Bicycle Queen