Pirate Girl 女の子の海賊だよ!

 花模様、水玉模様の帆を張った小船はモリー号。船内には寝そべるモリーの傍らに、まるで赤頭巾ちゃんがおばあさんを訪ねたときのようなバスケットが一つ見える。それもそのはず。モリーはおばあちゃんに会いに行くところだった。そこにやってきたのが、泣く子もだまる海賊船。モリーはあっという間に捕らえられ、じゃがいもむき、甲板掃除に靴磨き……と、こき使われることになった。「なまえとすんでるところを おしえろ!」ひげだらけの恐ろしげな船長に尋ねられても、モリーは絶対に口を割らない。「おしえたら、あんたたちがおののくだけよ!」――。実は、本当に「おののく」結果になってしまうところが、この海賊話のユニークなところで、子どもたちだけでなく主人も含め、一家みんなで夢中になった。
 夏は海賊絵本が所狭しと書店の店頭を飾る季節。(ジョニー・デップの映画がらみだったことも、人気に輪をかけていたかな。)ジョン・マシューズの『Pirates』は、その筆頭を行く人気本だ。ぱらぱらとページをめくってみたけれど、ノンフィクションでもあるので娘にはちょっと難しいかなと思っていたところ、このかわいらしい海賊絵本『Pirate Girl』に出会えた。作者はドイツ児童書の人気作家コルネーリア・フンケ。『Dragon Rider』や『The Thief Lord (BOOK SENSE BOOK OF THE YEAR CHILDREN'S LITERATURE (AWARDS))』など、読んでいずとも名前だけは知っていたので興味津々に手を取る。この絵本も原書はドイツ語だ。
 で、ふたを開けてみたら、これが家族全員を巻き込む楽しさである。ジェンダー・ロールについてやんわり風刺しているようで、くすっと笑えてしまうのだ。海賊絵本はイラストを眺めるのも楽しみの一つだが、もちろん本作品もそうだった。
 娘はさっそくカウチを海賊船に見立て、大海原に出航していた。電気スタンドにはガイコツ印の旗。乗組員は、がまくんとかえるくんら、ぬいぐるみたちだった。(asukab)
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  • 絶対、イラストに注目!

Pirate Girl

Pirate Girl