the true story of Stellina ことりのステリーナ ほんとうにあったお話

 「真実は、強い」と祖母はいつも言っていた。創造の中でその強さが発揮できたら、それにまさるものはない、と。『The True Story of Stellina』を読んで、祖母の言葉を思い出した。ニューヨークの街角で拾われた一羽のひなが作者夫婦(当時はまだ結婚していなかった)とともに暮らした八年間は、実在した時間である。
 ニューヨーク3rd Ave. と46th St.の角は喧騒の中。それでも「ぴぴぴ」と聞こえた鳴き声が運命だった。「もし、あのとき拾われてなかったら……」。そう思い始めると、空間の中のたった二点が偶然に一致して出会いとなる奇跡を思わずにはいられない。イタリア語で「小さな星」という意味のステリーナ。生みのお母さんと逸れてしまったけれど、人間といっしょに暮らした八年間も、きっと幸せだったことだろう。
 絵本には、ことりが拾われ、人間と生活をともにするようになるまでが、やさしいさえずりといっしょに記される。鉛筆による人物描写がわたしのタイプでないのだが、ステリーナがかわいらしかった。(asukab)
amazon:Matteo Pericoli

The True Story of Stellina

The True Story of Stellina