12月通り25番地
近所のおばあちゃんに頼まれ、クリスマスの飾り付けを手伝った。わあ、早い……と思ったけれど、サンクスギビングの翌日から実質ホリデーシーズンが始まることを考えると、今のうちにできることは済ませておくのがいいのかもしれない。おばあちゃんのご自慢は、お子さんやお孫さんから毎年一セットずつ贈られるという、ビクトリア朝クリスマス風景を再現したミニチュアタウン。陶製の建物には電気が灯るので、白いフェルト生地の上に置かれた教会や郵便局、市庁舎、博物館、農場……は、たちまちクリスマス色たっぷりの小さな町として浮かび上がる。
もうクリスマス――。忙しさを除けばもっとも時節のテーマと絵本の意義が一致する、心あたたまる季節の到来だ。一年で一番、絵本がお似合いの季節でもある。夜、子どもたちと読んだ絵本は『12月通り 25番地』(原書『Twenty Five December Lane』)。ふわりと心ぬくもる、クリスマスらしい一冊である。
大好きなあの子のために贈り物を探していた女の子は、いつの間にか大通りからはじき出され、気がつけば暗くてさびしい12月通りを歩いていた。人影のない建物に見えるのは、がらくたや時代に取り残されたものばかり。引き返そうと思ったとき、通りの向こうできらりと窓が光った。そこは、25番地にあるお店。中には見たこともないほど、たくさんのおもちゃが並んでいた。
イラストに表れる光と影がクリスマスのぬくもりと凍てつく冬の象徴となり、同時に清らかな女の子の気持ちを美しく描く。わたしが一読したときにはわからなかったディテールを、子どもたちは目ざとく発見して、不思議なお店での魔法のようなできごとを静かに見守った。そして、もちろん、おもちゃと言えば、クリスマスと言えば……。影に描かれるからこそ、探し物も心が躍る。帰結には贈り物の意味が、たっぷりの抱擁といっしょに示される。
適度に漢字を用い、言葉のイメージと情景をきれいに重ね合わせた文章がいい。タイトルからして、何か想像力をかき立てられる素敵な雰囲気を持ち合わせているもの。雪の降る夜から、クリスマスの香りがわたってくるようだった。(asukab)
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