Beatrix Potter A Journal ビアトリクス・ポターの日記

 ピーター・ラビットシリーズの背景を伝える書籍*1は多いけれど、まさか『Dragonology: The Complete Book of Dragons (Ologies)』や『Egyptology: Search for the Tomb of Osiris (Ologies)』などオロジーシリーズと同様の趣向でポターの個人史が出るとは思わなかった。写真や手紙などアーティファクトを含め、ポター自身が記録したかのように綴られる日記アルバム『Beatrix Potter: a Journal (Peter Rabbit)』は、まさにファンにとって宝物愛蔵版である。
 「わたしは十六歳のときから、この日記を書き始めました……」で始まる年は、1882年。セピア色のページには家や家族の写真はもちろんのこと、同時彼女が描いた動物の絵画、影響を受けた美術展のパンフレット、初めて挿絵画家として手がけた動物のグリーティングカードetc.……取り出したり、めくったりのハンズオンでポターワールドがたっぷり紹介される。注目はマクレガーさんになったチャーリー・マッキントッシュさんの写真かな。子どもたちは、白いおひげのおじいさんをしげしげと眺めていた。
 日記本文は筆記体のフォントで綴られるので、中学年ぐらいにならないと子どもには読みにくいかもしれない。それでも、小さなゲーム用紙が付いていたり、手紙や地図の理由を説明すると喜んで聞いているので、親子いっしょに十分楽しめる。このゲームはカラーで拡大コピー、ラミネートして保存版にしたいなあと一念を抱く。
 そしてそして! すてきな贈り物が、最後に隠されていた。私家版ピーター・ラビットの冊子が裏見返しにひっそり組み込まれていて、こんなところに!と胸がさらにときめいてしまうのだ。
 表紙からして魔法がかった存在なので、満ち足りた時空への扉がそこに佇むといった風。英国に思いをはせる、ちょっとぜいたくな冬が保証された気分に浸る。(asukab)
amazon:Beatrix Potter

  • まるで夢を見ているかのような、豪華な絵本。贈り物に最適

Beatrix Potter: a Journal (Peter Rabbit)

Beatrix Potter: a Journal (Peter Rabbit)