Yoon and the Christmas Mitten ユーンとてぶくろ

 『Yoon And the Christmas Mitten』を娘に読もうかと考えていたけれど、設定について少々違和感を抱いたので思い直した。
 ユーンは移民してきたばかりのコリアン・アメリカン。学校でサンタクロースや贈り物などクリスマスの話を聞き、心が弾む。家に帰って父さん、母さんに話したけれど、コリアの伝統文化をかたくなに守る両親は快く思わなかった。
 もし物語の時代設定が朝鮮戦争あたりであれば納得いくけれど、現代にここで描かれるような状況ってあるのだろうか。日本に比べたらクリスチャン人口の割合が圧倒的に多い韓国で、西洋文化のイメージ(クリスマス、サンタクロース、赤鼻のトナカイ、ミントキャンディ……)を知らない子どもがいるのかなあ、と疑問に感じた。イラストとユーンの反応から、彼女は西洋文化と隔離された土地からやってきた女の子のように描かれている。そういう土地もあるのかもしれないが、それにしても韓国のひとつのイメージはキリスト教でもあるので、設定の選択ミスじゃないかと感じた。ちなみにWikiで韓国のキリスト教を調べたら、以下の記述があった。

韓国統計庁が1999年発表したところによると、韓国の宗教人口は総人口の53.6%を占め、非宗教人口は46.4%である。このうち、仏教が26.3%、プロテスタントが18.6%、カトリック7.0%、儒教0.7%、その他1.1%となっている。プロテスタントカトリックを加えたキリスト教全体では25.6%となり、ほぼ仏教に匹敵する。キリスト教信者数は約1200万人となり、韓国は信者絶対数ではフィリピン、中華人民共和国に次ぎ、国民全体に占めるキリスト教信者の割合ではフィリピンに次ぐアジア第2のキリスト教国である。――Wikipedia 「韓国のキリスト教

 またユーンの学校が宗教系の学校なら話は別だが、もしそうでなければいまどき公立学校で教師がクリスマス(サンタクロース、贈り物、トナカイetc.)の話をするって、どんな学校? 他宗教に敬意を払う意味から、少なくとも当地ではクリスマスを想起させる表現云々はご法度だ。
 疑問に感じる箇所があちこちにあり、画家*1,*2のファンで期待大の絵本だっただけに残念だった。クリスマスを知らない文化の存在を伝えたい意思はよくわかるのだが、背景に普遍性を持たせないと肝心のメッセージが生きてこない。
 午後十一時に停電復旧。風速九十五マイルの嵐は、巨木を倒すなど広範囲にわたり被害を出した。うちの近くでは高さ三十メートルぐらいのポプラの大木が根こそぎ――幸運にも家や電線、車ではなく――通りに倒れていた。自然の力に畏敬の念を抱く。停電で休校のため、準備したギフトは年明けに渡すことになる。(asukab)
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