Dizzy ディジー

 クリスマスはジャズもいいなあと思う。厳かな宗教音楽に浸った後、家でゆったりするにはジャズが一番と結論づけてもいいかな。そんな気分にぴったりの絵本が『Dizzy』だった。ジャズトランペット奏者ディジー・ガレスピー(1917-1993)の生涯と活躍を紹介する絵本なのだが、何よりイラストがいかしているのだ。広がりのある構成とマットな色の重ねを駆使し、ガレスピーがスウィングジャズ一辺倒のジャズ界に既成概念を超えた音の遊びを取り入れたいきさつを描く。中間色のやわらかさとリズム感のある言葉は子どもの気持ちを意識していることなんだろうけれど、それがまた大人にとってもいい感じで伝わってきて心地よいのだった。
 中表紙には天使たちがラッパを吹きディジーの誕生を祝福していることから、これもなんだかクリスマス向きだと思った。いじめられてばかりいた幼少期も描かれるけど、先日のブルース・リーの伝記絵本*1と比べて、事実はあっさりと象徴的に描かれるだけ。ジャズの調べを聴いているかのような言葉とイラストの遊び心が、アートとしても楽しめるジャズ絵本を生み出したと思う。(asukab)
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  • 幼少期の描写が深く心に残る

Dizzy

Dizzy