冬の夕焼け

鴇色(ときいろ)
藤色(ふじいろ)
牡丹鼠(ぼたんねず)
 ヨガ教室でストレッチをしているとき、夕焼けが見えた。わ、冬には珍しい色彩――。ゆっくりと深い呼吸をしながら、見とれることしばし。あまりにも思いがけず、ほんのり染まった鴇色の空がなんだかもったいないような気もした。遥か彼方、夏を想起させる雲の表情にも目が吸い寄せられた。夏山に流れていく、和紙を漉かしたようなむわんとした雲が色の上に乗っているのだ。
 次のポーズに移り、再度窓側を見上げたときには、もうその華やかな明るさが消えていた。すでに冬の夜が、うっすらと影を伸ばし始めていた。