Scaredy Squirrel こわがりこりす

 冒険すべきか、すべきでないか。若い頃は冒険なんて言葉を知らずとも、いつも未踏の地に向かっていた。それが親になると冒険なんてとんでもない!という発想に、いつの間にか摩り替わっている。自由奔放に何でもさせてくれた両親と同じことが自分の子どもにできるかといえば、答えは微妙である。勝手な人間〜と苦笑したところでタイミングよく、娘と『Scaredy Squirrel』(邦訳『こわがりやのクリス だっしゅつだいさくせん』)を読んだ。
 こわがりこりすは、用心深い。自分の木以外は危険だらけと思い込み、一度も家を離れたことがない。「外の世界は、ばい菌だらけ。かぶれる葉っぱがあったり、恐ろしいサメが住んでいるんだもの」。緊急事態への備えもぬかりない。こりすは消毒石鹸やばんそうこう、パラシュートの入った救急箱を準備していた。そしてある日、緊急事態に直面する……!
 見返しの警告からして笑ってしまう。「この本を読む前に、消毒石鹸で手を洗ってください」――。わたしの保守性は、ここまではいかないなあ。あきらかに用意周到過ぎ、極めて保守な人々を皮肉った描写なのだけれど、からっと晴れた印象のイラストがそんな嫌味を取り除きコミカルな作風を生み出している。チャコールペンシルの太い線と、軽やかな中間色コンビネーションが効果的なのかな。
 予測可能な毎日も安心でいいけれど、たまには冒険も!と絵本は謳っている。親になると、ほんと「楽(らく)モード、安心モード」を求めてしまうのよね。(asukab)
amazon:Melanie Watt

  • にかっとしたスマイルがご愛嬌!

Scaredy Squirrel

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