MAMMOTHS ON THE MOVE マンモスの南下を描く豪快な絵本

 いい絵本は、理屈ぬきにいい。二年生の教室で子どもたちが『Mammoths on the Move』に魅了される光景を見て、実感した。絵本はマンモスの群れが冬季、南へ移動する様子を描くものなのだけれど、ノンフィクション絵本の中でもただならぬ魅力を秘めた絵本だった。
 子どもたちを夢中にさせた理由は何だろう。まず、マンモスという今では絶滅してお目にかかれない動物が描かれていること――自然と興味が湧いてくる。韻を踏むこと――リズムが生まれ、言葉に親しめる。見開きページの最後が、マンモスの行進に合わせたかのような繰り返しで終わること――そこから唱和する一体感が生まれる。これに加えて、巨大な姿を描く水彩版画のイラストが迫力いっぱいだ。構図が大胆で、見開きの横長サイズをうまく利用している。マンモスたちが泳ぐところ、天敵から子マンモスを守ろうと輪を作るところ(足しか描かれない)……どのページも「mammoth=huge」の意味をたっぷりと見せ付けてくれ、豪快の一言につきる。
 ノンフィクション絵本って、こんなにおもしろいものだったっけ。子どもたちの輪に入りいっしょに絵本を味わったのだが、すごく楽しかった。「知らなかったこと」「今日この絵本から学んだこと」を一区切りごとにまわりの友だちと共有し合う授業がすごくよかった。(asukab)
Lisa Wheeler
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  • 文章とイラストがぴったりで、編集者の勝利だと思った

Mammoths on the Move

Mammoths on the Move