A Good Day いい日にしよう

 六年目を迎えたラップトップと決別するまで、薄暗い冬の森に迷い込んだような気持ちに浸っていた。たかがPCなのだけど、仕事がらみとなると沈んでしまう。次の事象が起これば自然と消えていく感情とわかっていても、知らず知らずのうちにもやもやしていた。そんな週末に読んだ絵本が『A Good Day』。
 黄色いことりは、尾っぽの羽をなくしてしまい悲しい思いをしている。白い子犬は皮ひもがからまってしまい、身動きが取れない。オレンジ色の子ぎつねはお母さんとはぐれてしまった。……みんなみんな、沈んだ気持ちなんだけど、必ずいいことが待っている。
 タイトルからして、元気のもらえる絵本であることはわかっていた。で、読後の気分はやっぱりそのとおり。ほんのり甘いビタミン剤みたいな絵本で、子どもたちと読んでいるうち、明るいパステルカラーと動物たちの笑顔に少しずつ気持ちが和らいでいくのがわかった。
 ヘンクスのイラストはキャラクターの表情が庶民的で100%ぴたりと馴染めなかったのだけれど、この絵本はこげ茶色がふんわりした色調を囲んでいて、なんだかいい具合に溶け込めた。土の色、アースカラーの魅力かな。ありがと。
 どんよりした週末が、確かにいい日になった。一ページに一文で、文字が少ない。でも、当たり前のことをそのまま記しているから、自然に治癒力が湧きあがってくる。小さくてパワフルな絵本。春から夏にかけて読むのがぴったりだと思う。(asukab)
http://www.kevinhenkes.com/

  • 最後のページが、かわいいなー

A Good Day

A Good Day