Yo, Jo! ニューヨークの街角で

 『Ben's Trumpet』(邦訳『ベンのトランペット (あかねせかいの本 7)』)で見せた哀愁おびたジャズの世界と打って変わり、『Yo, Jo!』にはアフリカ系米国人たちの笑い声が聞こえてきそうな陽気な色が満ちている。
 お母さんから弟のめんどうを頼まれたフランクリン。でも、弟のジョマーはいつの間にかまわりの友達だちに誘われてストリートに繰り出してしまう。ボール遊び、ローラーブレード、ダンスミュージック……。今時の子どもたちが「かっこいい」と表現しそうな光景を、鮮やかなコラージュが活写する。こういうストリート文化の躍動感を目にすると、確かに「米国」の街の色が見えてくる。
 ほとんどのページが口語で描かれ、たとえば"S'up Jomar! . . . Gotta bounce! . . . Yo, Jo!"と言ったスラングが、見開きの数か所に置かれる。よく耳にするけれど、わたしは絶対に使いこなせないなあ。唱えてみたところで板についていないから、とてもこっけいで息子から笑われてしまいそう。
 ところで、作者の画風が変わっていて驚いた。アマゾンでリストを眺めてみると、水彩あり、劇画風シルクスクリーンありで多種多様だ。この絵本のコラージュはちょっと素人っぽいのだが、それが飾らない街の雰囲気に似合っているように思えた。夏には同様のコラージュ画法で「えんどう豆とおひめさま」が出るそうなので、注目してみようと思う。(asukab)
amazon:Rachel Isadora

  • ヒップホップしてる男の子たち、うちの小学校にもたくさんいる

Yo, Jo!

Yo, Jo!