Goodnight Bush おやすみなさい ブッシュちゃん

　『Goodnight Bush』は先週の日曜日、息子が喜んで手にした絵本です。表紙から察せられるように、こちらは米国の古典赤ちゃん絵本『Goodnight Moon』のパロディ版。マケイン-オバマ米国大統領選が白熱する中、ブッシュ政権を痛烈に風刺しています。　
　その炸裂ぶりは、まず表紙から。月明かりにのぞく光景は、黒煙を撒き散らす工場、原子力発電の影。暖炉の上には、議事堂、経済活性化・利潤のためなら何をもいとわないと言わんばかりの天秤やキリスト教右派を連想させる教会が並びます。壁には、油田・石油産業を牛耳る政治体制や軍事奨励を象徴する絵も。暖炉で燃やされているのは2000年フロリダ州での大統領選不正を示す選挙票、傍らにはさりげなく盗聴器が取り付けられていて、ほかにもページを開くと、これでもかという量のブラックユーモアで、共和党批判がほのめかされます。
　主人に見せたら、ラジオで話題になっていた絵本とか。原書の作者から許可を得ていない絵本なので今後どうなるかと懸念も残りますが、それにしてもイラストの細部まで巧みに配慮した傑作だとみんなでやんやの喝采でした。
　うさぎのぼうやのお部屋が不気味な部屋に変わってしまい、少しばかりのショックも残ります。しかし、もともと原色使いの個性的な絵本ですし、保守層に支えられるもっとも典型的な一冊を取り上げた視点が卓出していたと言えるでしょう。赤ちゃんの頃、原書に触れた大人たちが、どんな反応を示すのか。米国各地の政治土壌により、評価は分かれそうです。
　アマゾン表記、正しくは"An Unauthorized Parody"……。(asukab)
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Goodnight Bush