Cupcake カップケーキとキャンドルのスウィートなお話

 これはカワイイ! モダンな中間色のドット柄。その上には女の子の夢がいっぱいつまっていそうなキラキラ加工の大円形パステルブルー。そして、真ん中に"Cupcake"の主人公カップケーキが居座っている。一見マーサ・スチュアート風の配色と構成と言われれば、ウンウンと納得。モダンでお洒落で都会的、そんなカワイイ表紙につられてページを開くと、中もカワイイ甘さに包まれていた。
 売れ残ってしまったカップケーキは、自分はまったくトクベツじゃないと嘆き出す。まわりはカラフルに飾り付けられたカップケーキばかりで、バニラ色の自分はまったく存在感がないとこぼすのだ。そこに1本のキャンドルが登場する。この緑色のキャンドルも、まわりは数字の形だったり、背が高かったりのカッコイイキャンドルばかりなのに、自分は何の変哲もないローソクだと嘆いた。
 「トクベツじゃない」と沈む両者のナゲキ節が、おとぼけで愉快だった。でも、最後のページのひと言はどうだろう。ひとつの流れに沿った展開がここで……、うむむ。わたしだったら違う表現にしたいと注文してしまう。
 子どもにしてみたら、カップケーキに囲まれるお誕生会にぴったりの絵本。でも意外とバレンタイン絵本にしてもいいかもしれない。娘が「いっしょになればいいじゃん」と提言した直後、ちゃんと両者がいっしょになったのでビックリ。子どもはしっかり先が読めている。
 作者は"Just Grace (The Just Grace Series)"の人だった。どうりで、洗練された雰囲気はここにも。ナントナク、カタカナノ セカイ。
amazon:Charise Mericle Harper

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