四季の絵本手帖『どんなにきみがすきだかあててごらん』

どんなにきみがすきだかあててごらん (児童図書館・絵本の部屋)

どんなにきみがすきだかあててごらん (児童図書館・絵本の部屋)

 小さなウサギと大きなウサギが、お互いどれだけ好きなのかを比べ合いっこします。まず、小さなウサギが「どんなに、きみがすきだかあててごらん」と大きなウサギに勝負を挑みます。「これだけ」と、小さなウサギが両手をいっぱいに広げて示せば、乗り気でなかった大きなウサギも自分の腕の方がずっと長いと言わんばかりに「ぼくは、こーんなにだよ」と同じように両手を広げました。こうして始まった「好き」の度合いを表すゲームは、背の高さ、ジャンプできる高さ、見える限りの距離……と続いていきます。
 子どもの生活は、「好き」の気持ちでいっぱいです。毎日のすべてが両親や家族からの「好き」という愛情によって成り立っているのですから、ウサギたちのやりとりには、それは興味が湧くことでしょう。気持ちの強さは量で測れるものではありませんが、あえて目で見て分かる具体的な長さや距離で示すところに子どもは夢中になってしまいます。体を使って「これくらい!」といっしょに遊べば、小さなウサギの一生懸命な気持ちが伝わってくるようです。ウサギたちは友だちなのか、恋人なのか、あるいは親子なのか、2匹の関係からは不思議な温もりが伝わります。けれども、どのような関係でも、「好き」の気持ちに変わりのないことだけは確かといえるでしょう。
 心地よさを提供する「好き」の気持ちほど、すてきな贈り物はないでしょう。そんな「好き」は、こうやって伝えたらどうかしらと、子どもにも大人にもやさしく教えてくれる絵本です。(asukab)