小さな友だちの絵本

 ずっと読もうと思っていて機会を失っていた絵本『ちいさな1』は、読むなり娘の心をさらってしまった。本当なら原書『Little 1』で読んであげたほうが彼女にはよかったのかもしれないけれど、わかりやすいイラストおかげか、すんなりお話を理解してくれた。1の表情がいいのだろう。
 この小さな1は、いつもひとりなので友だちを欲しがっている。2個のなし、3匹のくまのぬいぐるみ、4羽の蜂、5本の傘……たちを訪ね、ぼくが加わってもきゅうくつじゃないよね、数がひとつ増えるよ〜、仲間に入れてと頼むのだけれど冷たくあしらわれてしまう。こうして数字の9まで、ずっと淋しい情景が続いていく。でも、最後にはすてきな出会いがまっているから、淋しかった分、うれしい気持ちがど〜んとやってくる。もちろん、娘の顔も大きなスマイルに。ひとつ数が増えるという「1」の概念を伝える絵本だけれど、娘には友だち探しの絵本という印象の方が強いかな。
 さっそく、小さな1を1ちゃんと呼び、指人形をフェルトで作る。最後にコロコロとやって来て友だちになるわっかちゃんも。これで、1ちゃんが旅をしたように、家の中で遊べるね。イラストがシンプルなデザインで表されているので、1ちゃんの存在がその分、ぐっと子どもの心に残るようである。作者が有名なグラフィック・デザイナーということにも納得だった。日本語も小気味良くて、心地よく心に響く。(asukab)