四季の絵本手帖『かしこいビル』
- 夏の9ページ かしこいビル (世界こども図書館A)
- 作者: William Nicholson
- 出版社/メーカー: Heinemann Young Books
- 発売日: 1999/11/01
- メディア: ハードカバー
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何をいっしょに持っていくのかは子どもにとって一大事で、あれもこれもと思ってもすべてが入るとは限りません。兵隊のビルは「もちろんおいていくわけにはいかない」のですが、時間が迫り慌てて荷物を詰め込むと、信じられないことにビルは置いてきぼりにされてしまうのです。2ページにわたるビルの「なんと!」の悲嘆ぶりと滴る涙は、忘れられてしまった切実な気持ちをドラマチックに表していて、感情を込めて読みたいところです。忘れ物は子どもの生活によくあることなので、きっと子どももビル、メリー双方に同情していることでしょう。ビルがメリーの乗った列車を追いかける姿はファンタジーの極致ともいえ、子どもの生活の中で機会あるごとに思い出される場面かもしれません。
子どもをあきさせない小劇場は表紙、裏表紙を含めたイラストが構成します。丁寧に絵を眺めビルの気持ちを追って読むと、会話も弾むことでしょう。(asukab)