夏のひそかな楽しみとなる絵本#4 風にそよぐ畑の風船

 青い空に浮かぶ、ピンク、オレンジ、紫、赤、青、黄色、緑の風船は、ピエロの顔だったり、カバだったり、ぶただったり、形はさまざま。ハーベイ・ポッターはそんな風船を畑で育てていた――。う〜ん、何という発想だろう。『ふうせんばたけのひみつ』も子ども心をときめかす設定とイラストに魅せられた絵本である。手に取りこれも昨日*1触れたマイク・ビューナーのイラストだったと気づく。やっぱりね。ストーリーのアイデアに負けないイラストは魅力的である。発色の鮮やかな風船が、まる飛び出てくるようだもの。グリーティング・カードでもお馴染みの絵柄は、これまた誰が見たってうきうきと楽しい気持ちにさせられる。
 お話は女の子の話し言葉で進む。米国南部の言葉が、のんびりとした畑の風景や街並みなんかとうまく調和していていい味を出している。邦訳も、らしくていいなと思った。どうやって風船の種まきをしているかは、ある夜その様子を目撃した女の子と読者だけの秘密……。からっとした青い空に、カラフルなイマジネーションがぽこぽこ生まれ出てきそうな夏の絵本。息子も娘も、「これがいい、あれがいい」と言いながら、風船を眺めるのが大好き――。この一言につきるかな。(asukab)

ふうせんばたけのひみつ

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