言葉遊びのグルグル渦巻き

 『Doodler Doodling』を手にしたとき、娘の選書を侮ってはいけないと感じた。開いてみて、「わ〜お、これはなかなかいける」の感想を持つ。わたしの絵本の選び方といえば昔は徹底してテーマに沿っていたが、息子の成長とともに一通り絵本に触れればそれもある程度は把握ができるというもの。なので現在の選び方は新刊か、作家名になる。たいていは書評誌や新聞で取り上げられた絵本というわけだけど、娘から手渡されこの絵本を開いたときは、何だか誰も知らない穴場を見つけたような喜びを抱いた。
 女の子がノートに走り書きをしている。8色装備の太いボールペンで。「Teachers teaching.」「Fliers flying.」。次に、彼女は主語を入れ替えて「Fliers teaching.」「Teachers flying.」とした。言葉遊びは、入れ替えたり、くっつけたりでどんどん続く。圧巻なのが、観音開きの見開きページ。「Painters hugging bakers climbing throwers painting huggers mowing fliers throwing climbers flying mowers baking teachers teaching.」……と、登場した表現が勢ぞろいする。文法的に言えば分詞構文を用いた遊びなのだが、これをイメージするのが結構笑えるのだ。で、またペンで描かれたイラストが楽しい。ノートの罫線から飛び出てくる女の子のイマジネーションが、ぐるぐる、ふわふわ、ごちゃごちゃと宙に浮く登場人物たちによって表され、遊び心が踊っている。ゼリンスキーって、この手の水彩+ペン画のイラストも手がけるんだ。
 こういう創作アート、授業でやったら楽しいだろうなあ〜と、自分が女の子になったような気分に浸る。(asukab)

Doodler Doodling

Doodler Doodling