四季の絵本手帖『おおきいツリー*ちいさいツリー』

おおきいツリー ちいさいツリー

おおきいツリー ちいさいツリー

 大きな1本のクリスマス・ツリーから始まる、ユーモアたっぷりのかわいらしいお話です。
 もうすぐクリスマス。ウィロビーさんのお屋敷に1本のクリスマス・ツリーが届けられました。さっそく大広間に立ててみると、大きすぎて先が天井につかえてしまいます。そこで執事のバクスターは弓なりに曲がった先を斧で切り、切った先を小間使いのアデレードにプレゼントしました。喜んだアデレードが机の上にツリーを置いてみると、ここでも先はちょっぴり邪魔です。そこで、アデレードもツリーの先をはさみでちょん切り、切られた先は庭師のチムの家に渡りました。ツリーはここでも先が邪魔で、切られることに。ツリーの先は、お父さんぐまのバーナビーに拾われました。
 ほんのちょっぴり大きすぎて、行くさきざきで先が切られるクリスマス・ツリー。けれどもどこでもツリーは大歓迎され、まわりを幸福で満たしました。所有者にぴったりの大きさでお祝いするツリーには、クリスマスの心が宿っているのでしょう。どんどん小さくさるツリーの不思議な運命を追いながら、子どもはクリスマスの喜びを分かち合います。
 ペン画のイラストは登場人物の表情をアニメーションのように生き生きと描き、躍動感あふれる展開を後押しします。最終ページの光景は、誰の心にもクリスマスの温もりと笑顔をもたらすことでしょう。(asukab)