四季の絵本手帖『大森林の少年』
- 冬の29ページ 大森林の少年
- 作者: キャスリンラスキー,ケビンホークス,Kathryn Lasky,Kevin Hawkes,灰島かり
- 出版社/メーカー: あすなろ書房
- 発売日: 1999/11
- メディア: 大型本
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たくさんの死者を出した疫病は当時、さまざまな形で人々の生活に影響を与えました。もし、自分が同じ状況にいたら……と、大人も子どもも両親やマーベンの気持ちに思いを重ねることでしょう。彼らの心情は厚みのある色合いのイラストとともに深く語られ、読むものの心を揺さぶります。家族と離れ離れになること、誰も知らない土地に行くこと、何が待ち受けているかわからないこと――町に残る家族の安否さえ保証はされません――、マーベンを襲ったそんな不安を、子どもはいっしょに感じ取ります。
家族を恋しがりながらも、伐採場での新しい生活に楽しみを見つけていく過程は活力にあふれる場面です。中でもカナダ人の大男ジャン・ルイとの友情は、雪深い森での暮らしに明るさを与えてくれます。家族と離れて暮らしたマーベンの成長は、さわやかな読後感とともにいつまでも子どもの記憶にとどまることでしょう。(asukab)